マーケティング

2018.08.20

ワコール、ピーチジョン、ヴィクトリアズ・シークレット ランジェリーブランドの2018年EC施策とは?

今回は、主に下着を扱っているファッションブランド「ワコール」「ピーチジョン」「ヴィクトリアズシークレット」の3社のEC施策を紹介したい。
3D測定やアプリのリニューアル、インスタグラムとの連携など、内容は違うものの、3社のEC施策に共通する背景にはユーザー第一といった姿勢が見える。

 

ワコールはユーザーとの交流をテクノロジーを利用し展開していく



ワコールの2018年の施策からは、オムニチャネルを意識している様子がうかがえる。
「お客様とより深く、広く、長くつながる」をコンセプトとして掲げ、

 ・3Dボディスキャナーの導入
・顧客、在庫データの一元化
・オリジナルアプリの開発

 を展開していくという。(使用開始は2019年春を予定)
下着を買う際の難点として、「スタッフによるサイズ測定」が挙げられるだろう。
それをワコールは、3Dボディスキャナーの導入によって解消しようとしている。
スタッフに直接胸のサイズを測ってもらうとなると、かかる時間は約5分。
しかし、この3Dボディスキャナーを使えば、5秒で測ることができる。
また、胸だけでなく150万箇所以上の体の部位の測定が可能だ。
これにより測定されたデータは、オリジナルアプリを通して確認が可能だ。
そのデータを元に、ユーザーに最適な商品がレコメンドされる。

また、オリジナルアプリでは、ユーザーのデータや、購入履歴だけではなく「ユーザーの美へのアドバイス」といったコンテンツも見ることができ、ユーザーのライフイベントやライフステージに合う商品や情報が取得可能になるという。
このように、ユーザーの特徴に合わせた内容を配信することによって、「ただ売るだけのEC」ではなく、ユーザーと相互に交流する関係を作るのがワコールの狙いだ。
それが、先ほど記述したコンセプトの「より深く、広く、長くつながる」にも表れている。
ワコールは、このような戦略によって、ECの売上高割合(EC化率)が2021年度には約20%になる見通しだと述べた。(2017年度は13%)

参照:https://this.kiji.is/398110309942101089?c=39546741839462401

 

 

ピーチジョンが7月にアプリをリニューアル



近年、WEBデザイン界隈では、UI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)が重視され始めている。
簡潔に説明すると、UIとは「ユーザーと製品・サービスの接触面」であり、UXは「その製品やサービスを通じてユーザーが得られる経験」のことである。
一般的に、UIを高めることによって、UXの質を上げることができる。
そのため、「ユーザー第一のデザイン」、「ユーザーが心地よいデザイン」が重視されているのだ。
そうした背景もあってか、ピーチジョンは2018年7月に、自社のアプリを大幅にリニューアルした。

 

ダウンロードして見てみると、メイン画面には自社の製品がスタイリッシュに配置されている。
そのため、ビジュアルを重視したリニューアルという印象を受ける。
機能の観点から言うと、ECサイトよりもサクサク動くため、次から次へと商品ページを変遷しやすいのも特徴だ。
そのほかの特徴としては、「登録が簡単」なことが挙げられる。
ECでは会員登録がボトルネックになっていることが多い。
いくら商品が良くとも、会員登録が面倒と感じれば、ユーザーは買わずに去ってしまうのだ。その点、今回リニューアルされたピーチジョンのアプリでは、WEBでの会員登録が不要である。
実店舗で配布される「ストアカード」に沿って、登録が可能なため、WEB上で会員情報を入力しなくとも良い。
また、ログイン状態が常に続くため、再ログインする必要も無いのだ。
このUIの改善はUXの向上にも繋がるだろう。
その結果、ECの売上アップも見込める。

 

ヴィクトリアズ・シークレットはインスタグラムからの流入を狙う

 

ヴィクトリアズ・シークレット(Victoria’s Secret)は、アメリカのファッションブランドである。
主に女性向けの下着やランジェリーを取り扱っている。
ミランダ・カーやカーリー・クロスといった有名モデルが在籍していたため、男性であってもヴィクトリアズ・シークレットを知っている人も多いだろう。
そんなヴィクトリアズ・シークレットのEC施策としては、インスタグラムの活用が挙げられる。
ヴィクトリアズ・シークレットの公式インスタグラムアカウントには、6000枚以上の写真が投稿されており、フォロワー数は6000万人以上だ。(2018年8月16日現在)
投稿の内容は、モデルが自社製品を着用したものが多い。いわゆる「インスタ映え」を感じさせる写真だ。ECの売上を上げるためにSNSを利用する流れは以前からあった。
しかし、インスタグラムでは

 ・プロフィール画面に載せられるアドレスは1つだけ
・投稿ページに他サイトへのリンクを貼ることはできない

 といった制約があった。
そのため、ECの売上のためにインスタグラムを運用するのに困難さを感じた担当者も多いのではないだろうか。
そんななかスタートしたのが、インスタグラムの「Shop Now機能」である。
日本では2018年7月からこの機能が始まった。
簡単に言うと、投稿に商品の購入ページをリンクさせることができるようになったのだ。Shop Now機能が使われている投稿には、写真の左下にバッグのようなアイコンが付く。
その写真をクリックすると商品名と価格が表示される。
そして、それをクリックすると商品の購入ページ(自社のECサイト)にアクセスできる。
また、1つの写真に複数のリンクを貼ることも可能だ。
ヴィクトリアズ・シークレットのアカウントでは、Shop Now機能が多用されており、直近20枚の投稿のうち、18枚に同機能が見られた。(2018年8月16日現在)
最近では、カフェや観光地のような場所だけでなく、商品も、グーグルなどのサーチエンジンではなく、「インスタグラムで検索して調べる」といった若年層のユーザーも増えた。
そのため、インスタグラムのShop Now機能によって、そうした層へのアプローチが期待できる。

 

2018年のEC施策として、「ワコール」「ピーチジョン」「ヴィクトリアズ・シークレット」のランジェリーブランドをみてきた。
3社に共通するのは「購入までの時間短縮」ではないだろうか。
会員登録の手間や、ECサイトが重いなど、些細に感じられるかもしれないが、こうした点によって離脱してしまうユーザーは多い。
そのため、アプリで商品閲覧の利便性を上げる、インスタグラムから直接商品ページにアクセスできるようにするといった施策がECの売上上昇に効果的である。

また、近年ユーザーは、より直感的に操作できるものを好む傾向がある。
そのためこの3社のように、「ユーザーファースト」の視点に立った施策をテクノロジーやWEBを通して展開していくことが、今後のECの売上アップに繋がるであろう。

 

 

TOPへ戻る