マーケティング

2019.05.23

オンライン発・人気ジュエリーブランド成功事例

ファッションECと言えば衣料品が大半を占めるが、国内外でアクセサリーやジュエリーに特化したECショップが成功を収めている事例が目立ってきている。実店舗を持たず、オンライン販売専門で多くの顧客を獲得しているサイトは、どのような強みを生かして成長を続けているのだろうか。

ファストファッションジュエリーを展開するBaubleBar(バウブルバー)

オンライン限定のジュエリーブランドと聞いて、まずはじめに名前が挙がるのはNY発のBaubleBarだろう。

https://www.baublebar.com/

このブランドの特徴は、まずその価格帯にある。商品の中心価格は40~60ドル前後にとどまっており、若い世代でも気軽に購入し、買い足すことができるファストファッション性が魅力と言えるだろう。

商品サイクルも早く、定期的なセールや会員向けの割引特典も頻繁に付与されるため、足しげくサイトを訪問するリピーターは少なくない。リアルタイムのトレンドをいち早く察知し、すぐに新商品に落とし込む展開の早さがBaubleBarの特徴である。

また、ネットショッピングメディアのShopping Tribeによると、2016年時点でBaubleBarは24億円の調達にも成功している。海外からの注文・送対応はもちろんのこと、米老舗デパートであるNordstorm(ノードストーム)との提携による販路の拡大や人気ブランドとのコラボ展開など、販売力の強化やブランディングが戦略的に行われている。

https://shopping-tribe.com/world-watch/25496/

 

アダストリアの展開する「PAS TIERRA(パティエラ)」

ニコアンドなど多数のアパレルブランドを展開するアダストリアは、自社初のジュエリーブランドとして2017年よりパティエラの展開をスタートした。自社Webストアでの販売から始まったこのブランドは、20代後半から40代の女性をターゲットとしたラインナップが特徴だ。

http://www.dot-st.com/pastierra/

価格は1万円前後のものが中心となっており、2万円程度になる商品も散見される。ターゲットがBaubleBarとは異なり若年層ではないため、商品の入れ替わりも比較的緩やかだ。ギフトではなく自家用で購入するユーザーも多いため、リピート購入にも期待ができる。

PAS TIERRAは価格相応の高級感あるデザインと、ダイヤや10K・18Kを用いたラグジュアリーな仕上がりが人気の秘訣だ。リーズナブルな価格でラグジュアリー製品を気軽にオンラインで購入できるのは、格式高いショップへ行くのが苦手な人には嬉しい仕組みと言えるだろう。

現在は公式サイトだけでなく、ZOZOTOWNでの取り扱いも始まっている。直営店も2018年の9月よりオープンしており、日本橋高島屋へ行けば実物を吟味しながら購入することが可能だ。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000714.000001304.html

ブライダルコレクションを展開する「ARTIDA OUD(アルティーダ ウード)」

BaubleBarやPAS TIERRAはギフトというよりも、世代に合わせて気軽に利用できるオンラインジュエリーブランドとしての地位を高めてきたが、サザビーリーグのEC限定ブランド、ARTIDA OUDは上記2つのブランドを上回るラグジュアリーな価格帯の商品を提案する。

https://www.artidaoud.com/

ARTIDA OUDのターゲットは今紹介した3つのブランドの中で最も高い年齢層で、30~40代の女性に向けたものとなっている。中心価格帯は1.5万円程度としながらも、中には3~5万円代にものぼるジュエリーを織り交ぜることで、全体的にラグジュアリー感の強いラインナップとなっているのが特徴だ。

そして高価な買い物をオンラインで気軽にできるよう、サイトにはチャットの導入によってオンライン接客が行えるよう設計されていたり、商品のカスタマイズやラッピングの種類にのも幅がある。店舗に近い感覚でオンラインショッピングを楽しめるのが、ARTIDA OUDの提供するサービスだ。

ブライダルコレクションの「Saphed(サフィード)」

そして2019年の6月より新たに展開されるコレクションが、ブライダルジュエリーとなるSaphedだ。

https://www.fashionsnap.com/article/2019-05-02/artidaoud-saphed/

インドはジャイプール産のダイヤモンドやK18YGの地金のみを使用するこだわりのラインナップとなり、オンライン限定ブランドであるが、店舗展開中心のブランドと遜色ないか、それ以上のクオリティーの高さを誇っている。

価格は10万弱~40万円ほどになる見込みで、注文された品は全てハンドメイドで1点づつ作られる。オーダーから約3ヶ月後に購入者の元へ発送される。

受注生産によって在庫リスクを低減できる効果があるが、ブライダルジュエリーやラグジュアリーは、受け取りまでに時間を要することが実店舗でも一般的であるため、受注生産によって配送が遅くなることは問題にならない。

あらゆる価格帯の出揃ったECジュエリー市場

高価な買い物はオンラインでは行われにくいと言われてきたが、ラグジュアリー品の代表格とも言えるジュエリー市場にも、オンラインを専門としたブランドはいくつも現れてきている。

そして価格帯も安いものから高いものまで網羅されており、あらゆるターゲットに対応したECサイトが展開されつつある。今後ますますオンラインでのジュエリー消費は増加していくことになるのかもしれない。

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