事例にみる優秀サイトのポイント
2018.03.19
売れるECサイトが網羅している3つの価値とは?レディースファッション「ADAY」から学ぶ
ADAYはゴールドマンサックスに勤めていたMeg He氏とNina Faulhaber氏の2人の女性によって2015年に設立されたECサイト。女性向けにシンプルで機能的な服を販売している。
創業者の2人がビジネス、運動、私生活すべてのシーンで着回せる機能的でいてシンプル、そしてサステイナブルな服があれば良いのにと思い立ったことが設立のキッカケだ。
ADAYはどこにでもありそうなECサイトに思えるのだが現在人気爆発中である。販売開始前には2000人の予約待ちが出たというから驚くべきである。なぜADAYが支持されているのかその理由に迫る。
3つの価値を提供
ADAYが支持されている理由は顧客にとって価値ある服を提供している点に帰着する。それではその価値とは何なのか。ブランディングの権威でもある米国の経営学者デビッド・アーカー氏による価値の3分類を参考に整理しよう。
アーカー氏は価値には3つの種類があると述べている。
①「機能的価値」商品の機能からベネフィットを得られる
②「情緒的価値」商品のデザインやストーリーからポジティブな感情を得られる
③「自己表現価値」商品を所有することで自己表現できる
世の多くのECサイトは①「機能的価値」を満たしてはいても他の価値を満たせていない。ADAYは見事にこれら3つの価値を網羅している。
①「機能的価値」
ADAYの服はシルクのような肌触りの素材でありながらシワがつかない、高い通気性、速乾性、軽量、UV加工などの機能性の高さが特徴。
②「情緒的価値」
ADAYの服は通勤、運動、私生活、どのようなシーンにおいても違和感なく着こなせるミニマルでスタイリッシュなデザイン。
例)カッターシャツSomehing Borrowed Shirt(価格135ドル)
さらに、ファストファッションとは一線を画す長持ちで環境に良いサステイナブルなファッションを志向している(環境に負荷の大きい染料の使用を少なめにプリントは不使用)
③「自己表現価値」
ADAYはソーシャル志向のインフルエンサーを登用し、サスティナブルでクールなライフスタイルを女性に提案している。
ECサイトではソーシャルアントレプレナーのMika Van Winkle氏を取り上げた「The Monday」というコーナーを設置。
Mika 氏の月曜日の仕事やプライベートの過ごし方を紹介すると共にADAYのカッターシャツとボトムスの着こなしをイメージで紹介している。「The Monday」はカッターシャツとボトムスのセットで250ドルだ。
ライフスタイルを提示し服をセット販売
ADAYの他ECサイトと異なるユニークな点はトップページに「Meet the uniforms(服一式を見つけよう)」というキャッチコピーを掲載。
「Shop Now」ボダンを押すと、前述の「The Monday」のほかに「The Everyday」「The Everywhere」コーナーへの誘導ページが表示される。「Get Dressed」ボタンを押すとそれぞれのコーナーが表示される。
それぞれのコーナーにはソーシャル志向のインフルエンサーをモデルに登用。彼女たちのライフスタイルを紹介しつつセットで服を販売している。
「The Everyday」
運動用のレギンスとトップスで150ドル。
スタートアップEnloopのソーシャル担当Marlena Szoka氏をモデルに登用している。
「The Everywhere」
レギンスとトップス230ドル。こちらは旅行に着ることが想定されている模様。
ハーバード大学出身のモデルSiena Canales氏を登用している。
ADAYは「機能的価値」を盤石にした上で「情緒的価値」、そこからさらに一歩踏み込んで「自己表現価値」を顧客に提供し独自性あるブランドを確立した。
ADAYは「自己表現価値」を提供するために自社ブランドのアイデンティティを定義し、そのアイデンティティに沿ったインフルエンサーを登用した。ECサイトを通じてどのような価値を提供すべきかADAYから大いに参考にできる点は多いだろう。
画像出典:ADAY https://www.thisisaday.com/