ECニュース解説
2016.07.08
インスタグラムを活用した無店舗販売の成功事例
店舗も持たず、広告もかけずにECだけの販売だけで売上を伸ばしている成功事例が続々と登場している。
特徴はインスタグラムによる情報発信とユーザーとのコミュニケーションでり、大手アパレル会社では思いもつかない独自のやり方を展開している。
繊研新聞 2016年5月18日 発行号 (協力:繊研plus)
以下、インスタグラム発ブランド「マイクローゼット」の成功ポイントについて考察してみた。
■インスタグラムのフォロワー数
長年ブログでファンを集めてきており、インスタグラムがSNSの主流になるタイミングでメインのPR媒体をインスタグラムに移行。多くのフォロワー数を保有している(フォロワー数11,000人)。マイクローゼットはフォロワー数を集めるのに約5~8年を経ているが、企業がフォロワー数を短期間で増やすのによく実施する広告やキャンペーンなどをしてきていないと思われる。そのことが、逆に、ピュワで質の高いユーザーを少しずつだが確実に集めることに成功できているのかもしれない。広告やキャンペーンを実施することで企業感が出てしまい、ユーザーとの親密性が希薄になってしまうデメリットを考えると、地道にコアなファンを集めるやり方が功を奏している。
■インスタグラムの投稿画像
スタイル画像(コーディネイト着用画像)に加え、気取らないありのままのライフスタイル(子育てママ)を現した画像を混ぜて投稿している。ユーザーに親近感を与え、ユーザーとブランドの接点を感じさせることでエンゲージメント(ユーザーとブランドの関係性)を強めている。
また、インスタグラムの投稿で商品サンプルを掲示し、反応を見ながら製品化や値段を決めているため、インスタグラムをテストマーティングのツールとしても活用している。
■リアルでユーザーに近い存在感のブランドを確立
ユーザーとのコミュニケーションもインスタグラムをメインに行い、通販に関するちょっとした連絡事項やスタッフ募集のお知らせなどもインスタグラムの画像を使ってメッセージを発信している。それにより、ユーザーも気軽に反応しやすく、インスタグラム上のコミュニケーションがコミュニティーの中で盛り上がっている様が見える形で共有されている。
■ユーザー向けの展示会が盛況
日頃からユーザーとのコミュニケーションがインスタグラム上で活発に行われているため、展示会などのイベントもどんな内容にしたらユーザーに喜んでもらえるかを企画しやすい。また、展示会やイベントは普段のコミュニケーションの延長線上にあるため、ユーザーも気軽に参加しやすい。「オシャレ好きの子育てママのコミュニティー」の集い、という形になっていて、「身近な友人に洋服を配る感覚」が根付いているのであろう。
■素朴で手作り感のあるサイトデザイン、商品画像
敢えて完成度が高くないサイトデザインや、撮影もプロのカメラマンを起用しない素朴なスタイルが、商業的な見え方ではなく、親近感を感じさせる演出に役立っているのであろう。
■商品詳細ページで着用カット(イメージカット)を多用
実際の商品を手に取って試着できない分、そのハンデをクリアすべく着用カットを多く掲載している。それにより、商品をより魅力的に見せることができ、着用した際のイメージを持ってもらえるのである。
■1万円以下の低価格、割安感のある値段設定
販売チャネルはネットのみのため、価格が1万円を超えてくるとどうしても購買のハードルは上がる。EC専業のブランドで成功している例は価格が1万円以下に抑えたファストファッション系のブランドが目立つ。
以上、EC専業で売上を伸ばしているマイクローゼットの成功要因や具体的な施策について考察してみた。