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2016.08.08

【海外最新事例】 「手編み」に特化したファッションECのWool and the Gang

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昨今の消費者は大量生産された製品から、少量のこだわりを持って作られた製品の方を好む傾向にある。これは衣食住のどの分野にも言えることだろう。さらには自分で作ってみたいという人も増えているようだ。今回ご紹介するWool and the Gangは手編みで服を作ることができる手編みキットを販売しているユニークなECだ。2008年に英国において設立された。2013年には280万ドル(約3億円)の資金調達の実績もあり、急成長を遂げてきた。Wool and the Gangがどのような戦略を持って成長してきたのかご紹介しよう。

 

手編みキット販売のアイデアはどう生まれたか

創業者のJANE HARWOOD氏とAURELIE POPPER氏は著名なデザイナーを多く輩出している英国ロンドンの芸術大学セントラル・セント・マーチンズでニットウェアについて学んだ。

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写真左Jane Harwood氏、写真右Aurelie Popper氏

 

創業者のJANE HARWOOD氏とAURELIE POPPER氏は著名なデザイナーを多く輩出している英国ロンドンの芸術大学セントラル・セント・マーチンズでニットウェアについて学んだ。

2人は将来の進路を考える中で、引き続きファッション業界に身を置いておきたいと考えていたのだが、過剰生産をしない、廃棄を最小限に抑える流通を実現したいと考えていた。そして、そのために手編みを普及させるのが理想だと考えていた。

しかし、既存の手編みキットは古臭いデザインのパターンしかなく、自分たちが理想とする手編みキットを販売している会社はなかった。2008年、理想とする手編みキットがないなら、自分たちで会社を立ち上げ、手編みキット、服を販売するブランドを設立することにした。

 

既成品と手編みキットを販売

 

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Wool and The Gangのユニークな点は既成品の他に、その既成品と似た服やバッグ、アクセサリーを自分で手編みで完成させることができる手編みキットが販売されているところだ。

例えば、女性用のセーターの「Shelly Tunic」の既成品は323ドルで販売されている。一方で手編みキットの方は194ドルで販売されている。手編みキットには8つのウールの毛糸玉、セーターのデザインパターン、手編みニードルが含まれている。

 

服だけでなくバックの既成品、手編みキットも販売している。バッグ「Brady Basket」の既成品は138ドル、手編みキットは49ドルだ。

 

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手編みの実践動画で集客

Wool and the Gangは創業した2008年から手縫いの実践動画をYoutube、Webサイトに掲載してきた。この動画がWool and the Gangの初期の顧客を獲得する大きな戦力になったという。

 

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3つのウールの毛糸玉からスカーフを作る実践動画

 

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合計11分ほどの動画で、動画を見ながら編んでいくとスカーフが完成する。

 

Instagramをバランス良く活用

 

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10万人以上のフォロワーがいるInstagramもWool and the Gangのマーケティング活動の大きな戦力となっている。社内スタッフとしてプロのカメラマンを雇用しており、彼らがInstagramのコンテンツを撮影している。

創業者のJane Harwood氏はInstagramの運用についてこのように語る。

「創業当初、手編みをセクシーでクールにみせるビジュアルのプラットフォームを求めていたんだけどInstagramはそれに最適だったのよ。顧客が製品に触りたくなるような写真を撮影して投稿してきたわ。」

「Instagramでは製品を販売する事とユーモアのバランスを保つようにしているのよ。あと、顧客はブランドの裏側を見たいと思っているから、それを見せるための写真も投稿してるわ。」

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手編みをカジュアルなものに

Wool and the Gangは手編みに特化した点がユニークなファッションECだ。Wool and the Gangが出てくる以前にはそのような手編みに特化したファッションECは皆無に等しかった。先駆者として手編みの良さを普及させていく努力は必要だっただろう。しかし、競合も少なく、チャンスも多くあったのだ。

そして、その手編みを普及させるための実践動画をYoutubeに、手編みの良さを訴求するコンテンツをInstagramに投稿したりして、ソーシャルメディアをマーケティングに積極的に取り入れたことがこのWool and the Gangの成功の要因と言えるだろう。

 

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