事例にみる優秀サイトのポイント

2017.01.13

徹底的な情報開示で消費者の信頼を得るファッションブランド”Zady”

価格の安さで勝負しているECサイトは多いが、安さ一辺倒では資本力のある企業のECサイトが勝つのは自明だ。もちろん、価格の安さだけで勝負していない優秀なECサイトも存在する。彼らは唯一ともいえる独自の強みを持っている。

その良いお手本が今回ご紹介する”Zady”だ。Zadyはエシカルな消費≒倫理的消費(自然、社会、人権に配慮した消費の姿勢)を実現するビジョンを掲げるファッションブランドである。2012年に米国ニューヨークにおいて設立された。これまでに135万ドル(約1億4000万円)の資金調達に成功している。

 

zady001Zadyは服の生産地、生産プロセスの情報を徹底的に開示しているのが特徴。服の素材には有害な物質を使用していないか、環境や労働者に配慮した工場で服が生産されているかといった点も考慮されている。そのような姿勢がZadyが信頼できるブランドとして消費者から支持されるようになったのだ。

 

 

創業のきっかけ

 

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写真左Soraya Darabi氏、写真右Maxine Bédat氏

 

ZadyはSoraya Darabi氏、Maxine Bédat氏の2人の女性によって設立された。2人は高校の同級生。2010年Maxine氏はアフリカの職人を支援するBootstrap projectというNPOを立ち上げた。Soraya氏はニューヨークタイムス誌やスタータアップでマーケターとしてキャリアを積んでいた。Maxine氏はSoraya氏にBootstrap projectのマーケティングアドバイザーを務めてほしいと依頼した。

2人が共に働き始めてからお互いの相性が良いと感じ、ともにサプライチェーンに対する興味関心があることも分かった。お互いに現代の大量消費社会に対しての問題意識を持っていたのだ。2人は会話を重ねる中で、ファッションにエシカルな消費の価値観を持ち込むと良いのではないかと考えていた。消費者の中には自分が着る服がどこで、どのように、どんな材料を使って作られているのか知りたいという意識の高い人も多いことが分かった。

そこでSoraya氏とMaxine氏の2人はエシカルな消費に配慮した服を販売するファッションブランドを立ち上げることにしたのだった。

 

 

素材の品質、情報開示に徹底的にこだわるZady

Zadyの特徴は服の素材の品質、生産地、生産プロセスの情報開示に徹底的にこだわっているところだ。たとえばニットセーターを例にあげてご説明しよう。下記が商品詳細ページで展開されているコンテンツである。

 

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アルパカの繊維はペルー、ウールはアルゼンチンの厳格な規定をクリアしたオーガニック農場で育った羊から刈り取ったものだけを使用しているとのことだ。

アルパカ繊維とウールはイタリアのノヴァーラへと運ばれ、ISO9001認証を受けているイタリアの製造工場Manifactura Sesiaと提携して高い品質の生地に生まれ変わる。

製造された布は米国のカリフォルニアにおいてセーターの形に縫製される。縫製工場が米国にあり、直接Zadyが工程をチェックできるので品質のコントロールがより容易になっている。

 

 

まとめ

Zadyの徹底した情報開示は流行りのコンテンツ・マーケティングともいえるだろうが、Zadyの服の素材へのこだわり、環境、労働者に配慮した生産プロセスを重視する姿勢など本質的な中身が伴っているからこそ消費者の支持を得ることができているのである。大量生産、低価格のファストファッションに対抗するZadyから学べることは多いであろう。

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