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2016.07.21
【海外最新事例】ニッチで勝つ!ボーイッシュな女性をターゲットにした「Wildfang」
海外のファッションECの中でも際立ったその独自性で顧客の支持を得ているのが今回ご紹介するWildfang(https://www.wildfang.com/)だ。2013年に米国ポートランドで販売をスタートした。独自性は何かというと「Tomboy=ボーイッシュな女性」の服を販売していることだ。
実際の商品を見てみようメンズ服のようなボーイッシュな服の数々が並んでいる。しかし、これらはすべて女性の体型にあうようにデザインされている。一体どのようなきっかけを経て立ち上げられたECなのだろうか。
・創業のきっかけ
Wildfangを創業することになるJulia Parsley氏とEmma McIlroy氏はもともとスポーツブランドのNikeに勤務していた。2人はアーバンアウトフィッターのメンズコーナーを見ていた時に、女性らしさという枠には適合していないが格好良いデザインのメンズ服がたくさんあると気づいた。
しかし、2人はこのメンズ服の中にボーイッシュな女性が好みそうなデザインの服がたくさんあるだろうと考えた。ただ、それらのメンズ服は女性の体型にあっていないことが問題だった。
女性の体型にあった服でありながらデザインはメンズ風の服の需要はあるだろうと推測できた。
・数百人へのインタビュー調査で明らかになった傾向
Nikeでマーケターとして働いていたMcilroy氏はWildfangの顧客とする人物像を明らかにするためボーイッシュな数百人以上の女性に対して、どのような買い物の習慣を持っているのか、どのような服をほしいのかインタビュー調査を行った。
この質問でわかったのは、驚くことに多くの女性が定期的に恋人のスウェットシャツや祖父の古いジャケットを借りているということだった。
このインタビュー調査でメンズ風の女性服への一定の需要があることが判明した。2010年、2人は「Tomboy=ボーイッシュな女性」向けのファッションブランドWildfangを設立することにしたのだ。
前述したインタビュー調査によって明らかになったのは、それらの女性はソーシャルメディアにおいて揃って同じインフルエンサー(影響力のある有名人)をフォローしているということだった。
そして、それらのインフルエンサーの声(話していること、価値観など)がボーイッシュな女性に共感されることもわかった。そこでインフルエンサーに近い価値観を持ったブランドとして女性に認識されることで、支持されるブランドになるだろうとMcilroy氏は想定した。
そのようなブランドづくりのために、ボーイッシュな有名人で、かつ2人の個人的なつながりがあった女性サッカー選手のMegan Rapinoe氏、女優のKate Moenigg氏、ブロガーのFrouFrou氏、Hannah Blilie氏にブランドのインフルエンサーとなってもらうためにパートナーシップを結びWildfangの認知度の向上に努めた。
それぞれのインフルエンサーには多くのお金を払ったわけではなくWildfangの考えに共感してもらいパートナーシップを取り付けたそうだ。
ボーイッシュな女優のKate Moenigg氏にはボーイッシュな女性達の生活を描いたビデオに出演してもらった。
・ストーリーを語ることの重要性
「Nikeから学んだことはベストプラクティスのちょっとした学位を手に入れたようなもの。
その中の1つに、どのようにすればストーリー・テラー(ストーリーを語る人)になれるのかがあるわ。」
Mcilroy氏はそう語る。ブランドを形作る上でこのストーリー・テラーというのは非常に重要だ。現在の人々は商品を買う際にその商品の機能だけではないブランドのストーリー(価値観、ビジョン)に共感する側面があるのだ。
Wildfangというブランド名はドイツ語なのだが、英語でTomboy(ボーイッシュな女性)という意味だ。このブランド名自体がWildfangがどのような価値観のブランドなのかを明確に示している。また、インフルエンサーにボーイッシュな有名人女性を登用し、彼らのソーシャルメディア上でWildfangについて拡散してもらうことでブランドの認知度の向上、イメージを強固にしている。
・まとめ
このWildfangはその独自性も素晴らしいものである。また、この成功から導き出される学びとしては、ブランドのストーリー(価値観やミッション)は何を明確にし、その価値観に共感するであろう人々を分析しその人に共感されるコンテンツやコンテンツの伝え方を練って実行することだろう。