事例にみる優秀サイトのポイント
2017.08.23
パンツのみの単品売りながら注文殺到のECサイト、電磁波防御パンツ「Spartan Underwear」
https://spartanunderwear.com/en/home/
「携帯電話の電磁波が人体に影響を与える」誰しもが耳にしたことがあるのではないだろうか。
実は、携帯電話の電磁波が生殖機能に対して悪影響を及ぼす懸念があり、世界中の研究機関が調査を進めている。
しかしながら、依然として電磁波に対して何の予防策もない状態だった。そこで、Spartanというスタートアップがこの電磁波問題に取り組み始めた。
Spartanは携帯電話が発する電磁波から男性の生殖器を守るための電磁波防御パンツを開発し、ECサイトで販売している。フランスにおいて2016年に設立。現在は米国ニューヨークを拠点としている。
SpartanはクラウドファウンディングのIndiegogoで目標調達額を大きく上回る2万ドル以上(220万円以上)の調達に成功している。
ふと思い浮かんだアイデアを実現させた
http://www.hec.edu/Masters-programs/News/2017-01-19-Entrepreneur-s-Startup-Spotlight-SPARTAN
Spartan創業者のArthur Menard氏は大学卒業後、経営コンサルタントとして勤務。その後ビジネススクールに通いアントレプレナーシップについて学んた。
スクール在学中、Arthur氏は起業アイデアを探していた。そんな時に常日頃から何気なくニュースで聞いていた電磁波の影響について関心を持つように。電磁波について調べていくうちに携帯電話が発する電磁波の生殖器への影響がかなり深刻な問題だと分かってきた。
Arthur氏は携帯電話を毎日ズボンのポケットに4時間以上入れている男性は入れていない男性に比べて精子数が50%減少すること、さらに精巣がん発症のリスクを高くすることを知った。それらの研究結果は携帯電話が普及してから今日までの短期間のものであり、長期的に見るとさらに深刻な影響を人体にもたらす可能性があることも知った。
しかし、人々がズボンのポケットに携帯電話を入れる習慣自体を止めることは不可能に近い。そこで、Arthur氏の頭に携帯電話の電磁波の影響から生殖器を守るための電磁波防御パンツのアイデアが浮かんだ。Arthur氏は早速、10種類以上のパンツのプロトタイプを製造。
Arthur氏がビジネススクールを卒業するタイミングで電磁波防御パンツを量産する計画を固め、Indiegogoで資金を調達。電磁波から生殖器を守ることができる唯一のパンツとしてMashable等の米国のメディアからも注目を浴びて注文が殺到。フランスから米国に拠点を移すことになった。
シンプルで直感的なECサイト
https://spartanunderwear.com/en/home/
ECサイトのトップページには「カッコいいハイテクパンツがあなたの男らしさを守ります」というメッセージ。
電磁波をカットし、生殖器を保護。さらにデザインセンスも良いパンツであるSpartanの特徴を短いながらも上手く言い表している。
https://spartanunderwear.com/en/home/
トップページに携帯電話を使う男性の姿を映した動画を掲載している。しかし、Spartanを履いているから安心。
https://spartanunderwear.com/en/home/
パンツは1着45ドル(約5000円)、3着125ドル(約13300円)、5着198ドル(約21000円)、10着342ドル(約37400円)
パンツの素材には銀繊維を採用し電磁放射線を99%カット。さらに抗菌性、耐臭性にも優れている。
トップページで商品のパンツを見て、商品購入ページにすぐに移ることができる。ユーザーにとってシンプルで分かりやすいレイアウトである。
https://spartanunderwear.com/en/home/
トップページにユーザーレビューが掲載されており、Spartanパンツの良さの説得力を増すことに貢献している。また、125ドル以上(3着)購入で全世界への配達料を無料にして世界中の顧客を開拓することに努めている。
Spartanはパンツにしてはかなり高額ではある。しかし、Spartan以外に電磁波をカットする男性向けパンツは他にない。結果、電磁波に不安を覚えている男性はSpartanでパンツを購入することになる。
SpartanのECサイトはシンプルなデザインながらも電磁波防御というSpartanの独自性をしっかり伝えることに成功している。パンツは消費財であり、一度購入した顧客はまたリピートして購入し続ける可能性が高い。ニッチな商品を取り扱うことで他のECと差別化するファションECの可能性を感じさせてくれる事例と言えるだろう。