マーケティング
2019.10.10
アパレルECが備えておくべき接客ツールとは
対面での接客を伴わないという、実店舗とは異なるアプローチで成長を遂げてきたファッションECだが、実店舗からECへの消費者の流入が進む中で、実店舗のようなサービスや接客が求められるニーズも表面化しつつある。
自宅や外出先からでも欲しい商品を購入できるのはECサイトの魅力である。しかしながら実店舗でなければ得られないサービスもあり、逆説的ではあるが、これらのサービスの拡充がファッションEC市場のさらなる成長に必要な課題となっている。
オンライン接客ツールはそんなECの抱える課題を解消すべく誕生したツールで、国内の大手ECを筆頭に次々と導入が進んでいる。
自動接客ツールの概要
自動接客ツールはその名の通り、EC上で訪問者に能動的な販売促進を行うためのツールのことを指している。
従来のECサイトではただ商品を陳列しているだけの受け身型のECサイトが一般的だったが、その場合訪問者の購買意欲を積極的に刺激することはほとんどなく、実店舗のような「店舗スタッフの接客によって商品が欲しくなる」効果をECサイトでは期待することができなかった。
接客ツールを使い、ECサイト側から訪問者へ積極的にアプローチを行うことで、「自動販売機」型の売り方から「欲しいものが生まれる接客」型へとシフトさせることができるというわけだ。
接客ツール導入のメリット
接客ツールを導入するメリットとしては、1つ目に、上述の通り訪問者の購買意欲を促進してくれること。そして2つ目に、離脱率の低下を見込める点が挙げられるだろう。
初めてサイトを訪問したユーザーは、もともと目当ての商品があってサイト訪問したとしても、その商品を見つけるのに手間取ったりしてサイトを離れてしまうことがある。
あるいはカートに商品を入れたのは良いものの、いざ購入に進もうと思うと価格が気になって先に進まずに離脱してしまうケースもあるであろう。接客ツールにはそういったユーザーの離脱を防止するのにも役立つ。サイトを訪れたタイミングでクーポンやセール情報を訪問者に与えたり、商品や発送方法などについてわからないことがあれば、その場で解決の手助けをすることができるからである。
自動接客ツールの種類について
一般的に使用されている自動接客ツールは主に2種類に分けることができる。1つはポップアップ型、もう1つがチャット型と呼ばれるものだ。
訪問者に合わせた展開が可能なポップアップツール
ポップアップツールはその名の通り、訪問したユーザーの画面に新商品の情報やクーポン、セール情報などをポップアップ画面で表示させることができる接客ツールだ。
ポップアップ画面上のリンクをクリックするだけで、新商品への誘導、セール会場への案内、クーポンの付与などが自動的に行われる。
「Web検索から訪問したユーザー」「外部の広告から訪問したユーザー」など、どのように自社サイトへたどり着いたかを分析し、表示するポップアップをパーソナライズすることがも可能なため、一定の効果が期待できる。
GAPのオンラインストアは、ポップアップツールを早いタイミングから導入してきたECサイトの例として挙げられる。
訪問者のリクエストに応えるチャットツール
チャットツールはポップアップツールほどの能動性はないものの、訪問者一人一人のニーズに丁寧に対応できるのが魅力の接客ツールだ。商品の在庫情報の確認や、商品に関するより突っ込んだ専門的な質問、あるいは地域別の商品到着日の案内など、サイトに掲載しづらい情報を個々のユーザーに的確に伝達することができる。
また営業時間の案内など、よくある質問に関してはテンプレートで自動返信が可能なチャットボットも一般的になりつつある。
導入事例としては、ナノ・ユニバースのオンラインストアが参考になるだろう。
https://store.nanouniverse.jp/jp/
<h2>アパレルECサイトでよく使われている接客ツール
最後に、アパレルECサイトで導入が進んでいる接客ツールもまとめて紹介しておく。
訪問者へのパーソナライズができる「Flipdesk(フリップデスク)」
サイト訪問者を自動で分析し、最適な接客が行えると評判なのがFlipdeskだ。サイトを訪れたユーザーが何回目の訪問なのか、ページの閲覧回数は何回か、滞在時間はどれくらいかを自動で解析し、それに応じたポップアップやメッセージを表示することができる。
NY発の多言語対応ツール「LIVE PERSON(ライブパーソン)」
グローバル展開を考えている企業に導入が進んでいるのが、NY発のサービスであるLIVE PERSONだ。
タグをサイトに埋め込むだけで訪問者の行動をモニタリングできるという特徴があり、サポートも充実していて、中国語や韓国語、スペイン語など多言語に対応している。
そのため、海外支社などを設立する際も、安心して本社と同じツールを現地で運用することができる。
実店舗以上の接客を体験できる「OK SKY(オーケースカイ)」
上述したナノ・ユニバースでも導入されているのがOK SKYだ。顧客とのコミュニケーションツールの提供へ力を入れており、メッセージングサービスやAIチャットボットの導入、チャットセンターの構築・運用サポートも行ってくれる。
有人チャットはコストパフォーマンスを向上させるのが難しいともされるが、OK SKYであれば効果的な運用方法をサポートしてくれるだろう。