事例にみる優秀サイトのポイント
2017.10.31
「見た目普通な」一般人モデル写真を採用、リアルさと親近感あるブランドで支持を得るOutdoorVoices
Nike、アンダーアーマー、ルルレモンなど新旧問わずブランドが入り乱れるスポーツウェア業界で新たなブランドを創るのは容易ではない。
そんな中、ユニークな切り口で米国のスポーツウェア業界で頭角を現しているのがOutdoorVoices。2013年設立で3000万ドル(約33億円)の資金調達に成功している。
「緩めな」スポーツ愛好者の支持を獲得
OutdoorVoicesはカジュアルにスポーツを楽しみたい「緩めな」スポーツ愛好者を対象にしている。他ブランドのスポーツウェアの広告を思い浮かべてほしい。プロアスリートが疾走しているシーンが思い浮かぶような「ガチな」イメージがないだろうか?また、デザインもアスリート仕様である。
そういった「ガチな」スポーツウェアに怖気づくスポーツ愛好者もいるだろう。そこで、OutDoorVoicesは「緩めな」普通のスポーツ愛好者をターゲットにスポーツウェアのデザインをよりカジュアルなものにした。
このOutDoorVoicesの他ブランドと異なる切り口がスポーツ愛好者に支持されているのだ。
一般人風のモデルを採用、セレブっぽさを排除
OutdoorVoicesの「緩めな」スポーツ愛好者を対象にした方向性はECサイトにも反映されている。他ブランドではモデルのような女性をモデルとして採用していることが多い。しかし、OutdoorVoicesでは一般人風のモデルを採用している。セレブっぽさを排除することでより親近感ある身近なブランドイメージを形成するためだ。
レギンス85ドル
ウエスト内側に隠しポケットを装着した速乾性のレギンス。
ラップドレス85ドル
スポーツウェアにファッション性を取り入れたOutdoorVoicesらしい商品。
ラップドレスの違うカラー(薄ピンク色)
OutdoorVoicesはそれぞれの商品のカラーバリエーションが豊富なのも特徴だ
Instagramのコンテンツをサイトに表示
モデルではない普通の人がOutdoorVoicesのウェアを着てアクティビティを楽しんでいる様子をサイトに表示したInstagramコンテンツを通して見ることができる。
コミュニティの構築
Forbes氏の取材に対してOutdoorVoices創業者のTyler Haney氏は、一般的なスポーツウェアのECサイトに比べOutdoorVoicesは2倍のリピーター顧客がいると答えている。つまりファン顧客が多いのだ。その理由はOutdoorVociesが取り組んでいるコミュニティ構築にあるだろう。
OutdoorVociesはECサイトでの販売がメインだが、小売店舗も7店舗存在している。その店舗に従業員、顧客が集合してみんなで一緒になって散歩、ジョギング、ハイキングをするアクティビティを開催している。そうして、OutdoorVoces独自のコミュニティを形成している。
またこのアクティビテイ名を♯DoingThings(アクティビティや何かを実行すること)と名づけている。Instagramで♯DoingThingsつきの投稿を見るとOutdoorVoicesのウェアを着た人の写真を多く見ることができる。「アクティビティはOutdoorVoicesを着てする」そんなブランドイメージを形成するのに一役買っている。
スポーツウェアと言うレッドオーシャン業界で前述のユニークな戦略で成長したOutdoorVoices。その創業者Tyler Haney氏は一体どのような人物なのだろうか。
OutdoorVoices創業のきっかけ
創業者のTyler Haney氏は高校時代は陸上競技に熱中したアスリート。しかし、パーソンズ大学入学後にデザインを勉強し2012年に修了。パーソンズ大学ではテクニカル素材の魅力に取りつかれたという。
Haney氏は元アスリートということもあり、数多くの有名ブランドのスポーツウェアを見てきた。しかし、そのどれもがアスリート向けの「ガチ」な本格派のスポーツウェアばかりであることに気づいた。広告にしてもアスリートを前面に押し出したものばかり。
しかし、スポーツはアスリートのためだけのものではない。多くの一般のスポーツ愛好者も楽しむものだ。Haney氏は有名ブランドの姿勢と一般のスポーツ愛好者の間に溝があると感じた。
毎日着ている服に近いよりカジュアルなスポーツウェアをデザインすることによって、その溝を埋めたいと思うようになった。これがOutdoorVoices創業のきっかけだ。
Haney氏の想いはOutdoorVoicesのスポーツウェアのデザイン、ECサイト、SNSすべてにしっかりと反映されている。OutdoorVoicesはそのHanye氏の想いを根底に成長してきたのだ。