事例にみる優秀サイトのポイント
2017.10.04
創業2年足らずで年商5億円以上、ハンドメイドの革靴ECの「Taft」成功の秘訣はSNS活用にあった
積極的にSNSを活用することで成功するECサイトが増えている。
当記事で取り上げるハンドメイドの革靴を販売するECサイト「Taft」はそのお手本のような事例。2015年末に設立され、すでに3万以上の顧客に靴を販売し、年間500万ドル(5億5000万円)以上の売上を上げている。
一体どのようにして、わずか2年弱でこれだけの成功を遂げることができたのだろうか?その成功の主な要因にはECサイトとリンクさせたSNSコンテンツの存在があった。
ソックス販売から靴の販売へ
Kory Steven氏とMallory Stevens氏夫婦がTaft創業者。Kory 氏は2013年にブリガムヤング大学を卒業後、コンサルタント職のオファーを受けたが週に100時間労働するような長時間労働のコンサルタントの仕事にあまり乗り気ではなかった。
そこで2人はソックスを販売するECサイトを立ち上げた。商品のソックスを着用し靴を履いている写真を撮影。Instagramに写真を投稿していった。するとフォロワーが1万人、3万人、5万人着々と伸びていったのだ。想定以上に反応が良いことにKory氏らは驚いた。最終的には15万人のフォロワーを獲得。2人はこのInstagramページの人気をソックス販売以外の別の事業に活かせると確信。
ソックス販売事業当初、単価の高い靴を避けて単価が低くリスクの低いソックスを商品として選択していいた。しかし、ソックスのInstagramページが靴業界にも名を知られるようになっており、靴の生産業者から商談の声がかかるようになっていたのだ。声をかけてきた取引先の一つであるスペインの革靴生産業者をパートナーとして選んだ。そして2015年、ハンドメイドの靴の販売を開始したのだ。
スペイン製の本格的な革靴が格安で手に入る
Taftは店舗は持たずにECサイトにおいてのみ靴を販売しており、中間業者を介さないため靴の価格を抑えることに成功している。店舗で購入すると600ドル(約6万6000円)以上するようなスペイン製の革靴が半額以下で購入できる。たとえば革靴「The Rome Boot in Brown」は275ドル(約2万9000円)。
320以上の顧客のレビューが掲載されている。そのほとんどが5つ星中5つ星と高評価だ。顧客のレビューにはTaftの靴の質の高さ、履き心地の良さを賞賛するレビューが並んでいる。また、Taftは14日以内無料返品や交換にも対応(※条件あり)している。
レビューでは顧客が投稿した商品の写真も見られる。
SNSで勝負
創業者のKory氏はファッション業界で事業を始める際、小さな企業がSEOや広告で勝負するのはあまり賢明ではないと語っている。なぜなら、そのどちらも多額の資金を持つ企業が有利になるからだ。
Taftは前述のInstagramの延長でもあるが事業開始当初からSNSに注力している。コンテンツの質が平等に評価され、良いコンテンツは広く拡散されやすい。TaftのInstagramには30万人以上、Facebookには8万人以上のフォロワーがいる。
良質なコンテンツの制作
ECサイトにもSNSの写真をリンクし掲載している。たとえば以下は着こなし集となっているInstagramの写真コンテンツ。
創業当初のFacebookへの投稿コンテンツ
最近のFacebookへの投稿コンテンツ
ブログでは「靴を見栄え良く保つ10つの方法」など靴の手入れの記事コンテンツも充実させている。
ブランディング、コンテンツ制作、顧客対応以外の業務はすべて外注
Taftの成功要因として他に言及したいこと、それは外注の活用だ。Taftは創業者夫婦2人が主力。マンパワーは十分ではなかった。そこで、2人がしなくても良いと判断した業務(ファイナンス、製品の品質管理、物流など)はすべて業者に外注。2人は顧客エンゲージメントの向上、ブランディングに注力し、コンテンツの作成と顧客対応を自ら行った。創業してから2年間、メール対応、電話対応、手書きのお礼状執筆などの顧客対応を2人ですべて担当していたそうだ。
注力すべきことにしっかり注力できる体制を確立することもTaftが顧客のエンゲージメントを高め、顧客に支持されている要因であろう。