マーケティング
2019.01.15
離脱率改善に有効なAmazon Pay(アマゾンペイ)の使い方
EC事業において重要とされているのは新規顧客を継続的に獲得し続けることである。
そして開設からまだ日が経っていないECサイトの運営者が最も苦労するのも、新規顧客の獲得である。購入者がなかなか現れてくれないというのはもちろん知名度の問題もあるかもしれないが、訪問者数が増えつつあるサイトでもなかなか購入に結びつかないというケースは少なくない。
ユーザーが気になる商品を見つけても、カートに入れるだけで購入までは至らない「カゴ落ち」の問題は、多くのECサイト運用者が抱える問題の一つである。
そのような離脱を防ぐための施策はいくつか存在するが、決済システムであるAmazon Payの導入は有効な手段として注目が集まっている。
Amazonのデータベースを活用した決済システム
Amazon PayはECサイト最大手であるAmazonが提供する独自の決済システムだ。購入者はAmazon以外のサイトでもAmazonアカウントを通じて決済ができるようになるため、Amazonのアカウントを持ってさえいれば、初めて利用するECサイトでも最短2クリックで商品の購入が可能となる。
決済フローの簡略化は非常に大きな意味を持っている。Baymardの調査によると、アメリカにおけるカゴ落ちの理由として多くのユーザーが指摘しているのは、決済までの手順が長すぎるという問題だ。
https://baymard.com/lists/cart-abandonment-rate
グラフによれば、カゴ落ちの原因として「新規アカウント作成が面倒」「決済までのプロセスが長すぎる」という要素が大きな割合を占めている。
検索流入などでECサイトにたどり着いたのはいいが、購入するとなれば新たに会員登録手続きを行い、その上クレジットカード番号などの決済情報を入力させられるのは心象が悪い。
また、初めてのECサイトに個人情報を登録するというのはセキュリティ意識の問題から敬遠するユーザーも少なくない。今はECが身近になり、インターネット上で物を買うことに抵抗のない人は増えているが、それでも不慣れなサイトでの買い物となると警戒心を抱く人もいるものだ。
Amazon Payはこのような手間や不信感を取り除く上で、非常に効果的な決済サービスとなっている。
Amazon Payの持つ強み
数ある決済サービスの中でもAmazon Payが優れているのは、その圧倒的知名度の高さが挙げられる。
見知らぬサイトで商品を購入するのが億劫であっても、Amazonのアカウントから購入できるとなれば、決済のハードルは大幅に下がるものだ。
Amazonの公式サイトでは最短1クリックで行えるような手軽さを実現しているため、ユーザーにも「Amazonはお手軽」というイメージが定着している。セキュリティの面でも、「Amazonなら大丈夫」という信頼感をユーザーに抱いてもらうことができるだろう。
そしてAmazonはすでに膨大なユーザー数を抱えている点も見逃せない。Amazonユーザーはすでに国内だけで4000万人もの数になっており、世界全体で言えば数億人にものぼる。
https://netshop.impress.co.jp/node/5764
また、EC利用者の65%はAmazonで商品を購入しているという調査も存在する。
https://netshop.impress.co.jp/node/5649
そのため、ECサイトをよく利用するユーザーは基本的にAmazonアカウントを持っていると考えられ、Amazonベースでの決済が自社のECサイトでも導入されれば、彼らが自社ECのリピーターとなってくれることも十分にあり得るだろう。
Amazon Payと楽天 Payの相違点
Amazon Payとよく比較されるのが楽天の展開する「楽天 Pay」である。
https://pay.rakuten.co.jp/index_pc.html
こちらはネットだけでなく街中でも利用できる決済サービスとして注目を集めているが、オンラインショップに特化するのであればやはりAmazon Payの方が優れていると言える。
国内のユーザー数だけを見れば、Amazonも楽天もそう変わりはない。だが肝心なのは、Amazonは海外にも膨大な数のユーザーを抱えている点である。
昨今では日本のECを海外から利用するユーザーの需要も高まりを見せており、中国やアメリカからオンラインで日本のサイトにアクセスする人も多い。
そのような外国人需要も見越したECサイト運営を考えている場合は、世界中にアカウント登録者を持つAmazonの決済サービスを利用した方がより多くのユーザーをカバーできるであろう。
また、Amazon Payも最近になって店舗払いに対応するサービスを開始した。利用できる店舗は楽天ほどではないが、今後店舗数は増加していくと考えられる。
ECサイト向けのサービス拡充が期待されるAmazon Pay
Amazon Payの手数料は、デジタルコンテンツの場合は4.5%、それ以外の商品であれば一律4%に設定されている。Amazonというブランドがもたらす信頼性や決済の簡便さを考えると、妥当な手数料だと言えそうだ。
これまではAmazonの信頼性やシステムを利用したいと考えた場合、Amazonに出品を行う必要があった。だがAmazon Payの登場によって自社ECでもAmazonの決済サービスを利用することが可能になり、自社のブランディングの中で購入を促進できるようになったのは大きなメリットである。
また決済サービスにとどまらず、Amazonはソーシャルログイン機能を活用したほしい物リストとの連携や、Amazon公式サイトでの検索履歴の共有など、も今後展開していくことが考えられる。今の段階からAmazon Payを導入し、彼らの提供するサービスに自社ECを最適化しておくことも悪い選択肢ではないはずだ。