マーケティング

2021.04.12

ソーシャルコマースをめぐる現在と未来

SNSやアプリなどのネットサービスの増加に伴って、それぞれのサービスを互いに連携させることで相乗的に利用者の拡大を狙う取り組みが増えてきている。

例えばECとSNSなどを連携して運用する、ソーシャルコマースと呼ばれる手法は、ファッション消費における重要な役割を担い始めている。

ソーシャルコマースの概要

ソーシャルコマースは、ソーシャルメディアとオンラインショップを組み合わせて展開実施するEコマースの手法の一つで、検索エンジン以外の流入ルートからのオンラインショップ訪問者増加に焦点を置いたマーケティングとなっている。

ECとSNSを組み合わせたマーケティング

ソーシャルメディアにはSNSやブログ、動画共有サイトなど、いくつかのWebサービスが存在するが、ソーシャルコマースにおいて、現状最も注目を集めているのはSNSだ。

特にInstagramには、ユーザーの投稿から直接ECサイトの購入ページへと遷移できる機能も追加されているなど、近年はソーシャルコマースへの最適化が進んでいる。

こういった機能を有効活用することで、既存顧客と新規顧客の両方へ、効果的にアプローチすることが可能になる。

日本でもソーシャルコマースは重要な位置付けに

日本国内のアパレルEC化率は、海外に比べるとまだまだ成長の余地がある一方、各社でのオンラインショップの充実化、そしてSNSとの連携が進んだことで、Instagramなどを通じたソーシャルコマースの土壌は整いつつある。

SNS上でお気に入りの服と出会い、そのまま購入するのは新しい発見で便利という消費者意識の芽生えと、SNSとECサイトとの連携により消費機会がSNS上で展開されることは、新しい商習慣となりつつある。

SNSのインタレストマッチへの注目

SNSとECの連携において見逃せないのが、Instagramに搭載されているインタレストマッチの精度だ。

新規顧客はSNSが導く時代に

ユーザーの投稿や閲覧しているコンテンツから、彼ら個人の趣味嗜好を予測し、そのユーザーがまだ触れていないが、興味のありそうなコンテンツを表示するインタレストマッチの精度は、今や非常に高いレベルに達している。

積極的に自社商品に関する投稿をInstagram上で行っていれば、Instagramは自動的にその自社販売商品に興味のありそうなユーザーにリーチし、、彼らを自社アカウントやECサイトへと呼び寄せてくれるのである。

検索流入の場合、キーワード検索という単一の要素から新規顧客を獲得しなければいけない一方、SNSではテキストや画像、ハッシュタグなど、実に多くの要素から潜在顧客を自動的に探り出し、自社コンテンツへと導いてくれるのだ。

無視できないインフルエンサーの発信力と訴求力

そして、そんなSNSのインタレストマッチを活用しながら、芸能人などと引けを取らない発信力と影響力を発揮しているのがインフルエンサー達だ。

インフルエンサー各々の個性的で真似したくなるような投稿に加え、ユーザーとの距離が近い親近感が人気を博し、今や消費者達の購買意欲に直結する存在となっている。

企業からインフルエンサーへの商品提供や紹介依頼も増えており、ソーシャルコマースにおいては大いに効果が期待できる存在だ。

2019年に見られた、新しいソーシャルコマースの提案

ソーシャルコマースは数年前から使われてきた言葉ではあるが、最近では新しいソーシャルコマースの例も出てきている。

ルイ・ヴィトン×eスポーツ

一つは、ラグジュアリーブランドとeスポーツの組み合わせだ。

ルイ・ヴィトンは人気オンラインゲーム「League of Legends」の運営会社であるRIOT GAMESと2年間のパートナーシップ契約を結び、同ゲームの世界大会優勝者に送られるトロフィー専用のトラベルケースや、ゲーム内アバター着せ替えアイテム、さらには実際に着用できるコラボレーションアイテムの販売を開始している。

参考:GAME WATCH「Tシャツ1枚8万円! ルイ・ヴィトン、「LoL」とのコラボ製品47アイテムの予約受付を開始」

https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1223490.html

eスポーツの世界的な流行を受け、ゲーマー層という新規顧客開拓に向けた、ルイ・ヴィトンの先進的な取り組みの一つと言えそうだ。

コラボレーション公式ページ:https://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/stories/louis-vuitton-x-league-of-legends#

グッチ協業の着せ替えゲーム「Drest(ドレスト)」

ゲームと言えば、グッチも協力した着せ替えゲームの登場も話題になった。「Drest」は有名ブランドが数多く登場するファッションゲームで、実物を3DCGで丁寧に再現したアイテムを自由に着せ替えることができる。

Drest公式ページ:https://www.drest.com/

アプリ内にはグッチのアイテムはもちろん、ファーフェッチやステラマッカートニーなど、馴染み深いブランドの実物が登場し、無料で着せ替えに活用することができる。

面白いのは、これらのアイテムは実際にECサイトで販売されており、Drestから直接ショップサイトへと遷移して実物を購入できる。

ゲームでファッションアイデアを膨らませ、イメージが固まったら購入という、新しいアパレルECのあり方を開拓しようとする、野心的な取り組みとなっている。

おわりに

ソーシャルコマースのあり方は、今でこそSNSが主流ではあるものの、ヴィトンやDrestの例のように、新コンテンツとの斬新な連携の仕方も進んでいる。

時代に合わせたサービスとECを融合させることで、より効果的な顧客獲得へ繋げていくことができそうだ。

 

 

 

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