【保存版カリキュラム】ECノウハウ

2021.10.28

ECサイト運営マニュアル|自社ECサイト運用編

はじめに

この記事は、10年以上ファッション・アパレルECのコンサルティングを担ってきた弊社のコンサルタントが、ECサイトを運営してくいにあたっての業務項目やその内容の説明だけではなく、業務を遂行する上でのポイントや売上を上げるためのノウハウや具体的な施策について解説したものになります。貴ブランドのECサイト運営に役立てていただけると幸いです。

【目次】
・ECサイトの運営とは?

・ECサイト運営で理想的な人員体制・役割
フロント業務
バックエンド業務
ECサイト運営に必要なスキル・適性

・ECサイト運用の具体的な業務内容と成果を上げるためのポイント
【フロント業務】
1.分析
2.MD・商品企画
3.集客プロモーション
●運用型広告について
●運用型広告に適した広告メニュー
●SEO対策
●インスタグラムアカウント運用
●インフルエンサーマーケティング
●LTV(=ライフタイムバリュー)について

4.サイト更新作業、バナー制作、特集ページ制作、メールマガジン制作

【バックエンド業務】
1.問い合わせ対応
2.受注処理
3.ささげ業務(アパレルやアクセサリーの場合)

・ECサイト運営・売り上げをアップさせるコツ

・ECサイト運営・ブランディング施策
ECサイトのブランディングの必要性
ECサイトのブランディング施策

・ECサイト運用にかかるランニングコスト

・ECサイト運用代行

 

ECサイトの運営とは?

ECサイトの運営は大きく下記の二つに分かれます。
1.売上を上げるための運用業務
2.ビジネスをスムーズ回すための運用業務

1は商品企画やマーケティングと言われるフロント業務、2は問い合わせ対応や出荷業務などのバックエンド業務です。この二つは車の両輪のようなもので、どちらが欠けてもうまくいきません。売れる商品が揃っていても、受注処理や出荷がきちんとなされないと売上にはならないからです。逆に、どんなに優秀なバックエンド業務のスタッフと運用スキームが整っていても、売れる商品がなければ宝の持ち腐れになってしまいます。フロント業務とバックエンド業務の二つが最適化されるように、両者の連携が図られた運用スキームの構築が重要になります。

 

ECサイト運営で理想的な人員体制・役割

フロント業務

ECサイトの運営で理想的な人員構成は下記の通りです。

【フロント業務】

1.分析スタッフ
分析ツールを使ってECサイトのアクセス解析をしたり、広告や施策の効果検証をするスタッフです。数値を分析するだけではなく、分析結果から売上向上のための具体的な施策プランを企画するのも業務に含まれます。数字に強く、論理的に改善策を導き出すビジネスセンスと分析スキルが必要になります。

2.MD・商品企画
ECサイトで販売する商品の調達や製造を主幹とするスタッフです。売れる商品の生産を企画したり、仕入れ先の開拓に加え、商品ごとの在庫数量・在庫金額を管理して最適な在庫を保つためのマーチャンダイジングも業務に含まれます。

3.集客プロモーション
広告や販促の企画立案・実施・効果検証を行うスタッフになります。具体的にはリスティング広告などのネット広告の運用、SEO対策、インフルエンサーマーケティングなどがあり、最近ですとSNS(インスタグラム)アカウントの運用も範囲に含まれます。

4.サイト更新作業、バナー制作、特集ページ制作、メールマガジン制作
ECサイト上に新商品を掲載したり、バナーや特集ページ、メールマガジンを制作する業務です。商品の訴求方法や特集の内容を企画したり、魅力的なバナーデザインやメールマガジンを制作したり、クリエイティブな業務領域になります。デザイナーを社内で抱えるパターンと、デザイナーは外部にアウトソーシングして社内にはディレクターを置くパターンがあります。

1の分析と3の集客プロモーションを一人のスタッフが兼任したり、3の集客プロモーションと4のクリエイティブ業務を一人のスタッフが兼任するなど、個人のスキルや得意分野を組み合わせて最小の人数で運用すると人件費を抑えることができます。

 

バックエンド業務

【バックエンド業務】
1.問い合わせ対応
ユーザーからの問い合わせに対して回答のやり取りをする業務です。問い合わせ内容は大きく分けて3つあり、商品に関する問い合わせ、配送に関する問い合わせ、ECサイトの使い方についての問い合わせの3つです。この3つの中で一般的に割合が大きいのが配送に関する問い合わせになります。問い合わせ対応をうまくこなすには、ユーザーの注文情報や会員情報、商品の情報、出荷に関する物流情報を網羅的に把握しておく必要があり、物流スタッフとの連携も必要になります。

2.受注処理
日々、ECサイトの管理画面で受注情報を確認し、受注内容に沿って出荷指示を出す業務になります。また、出荷された後の注文のステータス管理も必要になります。

3.物流業務
受注情報の内容を確認し、商品のピッキング、出荷伝票の作成、梱包、在庫調整、棚卸、出荷完了メールの配信などが物流業務になります。一般的に物流業務を外部の専門業者にアウトソーシングすることも多くあります。

4.ささげ業務(アパレルやアクセサリーの場合)
商品撮影、商品説明文の作成、採寸、ECサイトへの商品登録と公開作業などの業務です。

バックエンド業務もフロント業務と同様、例えば、1と2の業務を一人のスタッフが兼任することで人件費を抑えることができます。

 

ECサイト運営に必要なスキル・適性

ECサイト運営で求められる適性は大きく下記の4つに分けられます。

1.ビジネスセンスがあり数字に強い
適性業務:分析、広告運用、販促企画

2.デザインセンス・クリエイティビティ
適性業務:バナーや特集ページ、メールマガジンの企画・制作

3.正確さと対人コミュニケーション力
適性業務:問い合わせ対応、受注処理

4.地道な作業の継続力
適性業務:物流業務、ささげ業務

上記の人員を雇い入れる場合、上記の4つの適性がある人材をリクルートする必要があります。人件費がかさまないように2や4の業務を外部にアウトソーシングすることを検討するのも良いでしょう。1はECサイト運営で要の業務であるため、アウトソーシングせずに社内でノウハウの蓄積を進めたほうが良いでしょう。但し、社内にノウハウを持った経験者がいない場合はECサイト運営の初期フェーズにおいては外部のコンサルタントと契約するのも手です。3の問い合わせ対応はアウトソーシングすることも可能ですが、社内スタッフが対応することでユーザーの声をマーケティング情報として収集することができます。その情報をECサイトの改善や商品の改良に活かせるメリットがあります。

 

ECサイト運用スキームの構築

実際の運用が始まる前に必要な準備事項が下記になります。綿密な構築スケジュールと準備項目ごとに役割分担を決めて準備を進めていきたいのものです。

【フロント業務】
・収益計画策定
・収益計画に沿ったKPI設定(目標アクセス数、目標購入率、目標LTV、目標注文単価など)
・KPIを達成するための集客プロモーション企画
・集客プロモーションに必要なビジュアル画像の調達や訴求方法の考案
・商品の調達と収益計画に沿った在庫計画
・サイト更新マニュアルの作成と更新のスケジュール化
・分析ツールのマニュアル確認
・同梱物(リーフレットやノベルティ)の企画、量産
・販促企画

【バックエンド業務】
・返品、返金ルールの策定
・キャンセル、返金時の対応方法検討
・各種決済のマニュアルの確認
・カートシステム管理画面のマニュアル内容確認
・FAQの作成
・問い合わせに対しての回答、アクションルール作成
・物流管理システム(WMS)のマニュアル確認
・物流会社との運用すり合わせ(アウトソーシングの場合)
・在庫保管スペースの確保
・梱包資材の調達、ロゴ等の印刷
・出荷伝票フォーマットの作成
・商品撮影、商品登録作業フローの策定とスケジュール化

 

ECサイト運用の具体的な業務内容と成果を上げるためのポイント

下記が各運用業務に対しての具体的な内容と成果を上げるためのポイントになります。

【フロント業務】

1.分析

無料・有料の様々な分析ツールがありますが、一般的によく使用されている分析ツール(アクセス解析ツール)が無料で使える「Google Analytics」になります。使用するには専用のタグをECサイトに設置することと、初期設定が必要になります。
Google Analyticsには様々な分析メニューが充実していますが、その操作方法やどう活用したら良いかはネット上で様々なノウハウが公開されているのと、様々な書籍が販売されていたり、無料のセミナーも多く開催されていますので、時間さえかければノウハウの習得には苦労しないでしょう。
分析のスタンス・考え方で重要なのが、「具体的な改善アクションを打ち出す」ことを意識することです。分析結果のグラフや数字だけ眺めていても意味がなく、そこから具体的なアクションに落とし込まなければ意味がありません。例えば、アクセス数やページビューが多いのに購入率が低い商品詳細ページを見つけたとすると、具体的な改善施策としては、商品画像の点数を増やす、商品説明文を充実させる、といった具体的なアクションプランを導き出せます。そこから更に突っ込んで、どういったカットの画像を増やすか、商品説明文をどういった訴求内容でリライトするか、他のアクションプランと比べて効果の見込みはどの程度か、いつまでに施策を実装するか、施策実施後のいつ頃にどういったKPIで効果検証するのか、といった具合に具体的なスケジュール、効果検証の仕方にまで落とし込んで初めて分析の役割を成し遂げられるのです。これらのアクションプラン実施の経験数と効果検証を積み重ねることでECサイト運用のノウハウと勘所が養われていきます。

 

2.MD・商品企画

アパレル会社のECサイトの展開の仕方としてよく見かけるのが、「既存のブランドは未だネット上で認知・販売していないのでECサイトで売ってみよう」「既存のブランドはリアル店舗への卸し販売していなかったから、ECサイトで直接エンドユーザーに売ってみよう」というようなケースです。そのようなケースで特にブランド認知がない場合、在り物の商品がただ単にECサイトに並べられるだけなので、売れないケースが多くあります。ブランドが認知されていて、検索ボリュームがある程度あるブランドでしたら「物ありき」のECサイト展開で売上を作ることができますが、ブランド認知がない場合、「コンセプト、ECサイトならではの見せ方・演出」ありきで商品を企画したり、セレクトする必要があります。ECサイト全体の一環したコンセプトやブランドストーリーに沿って商品企画をすべきなのです。ECサイトのコンセプトやブランドストーリーが薄い場合はそれ自体再考する必要があるかもしれません。
ECサイトでファッションアイテムを販売するにはブランドストーリーに沿ったサイトデザイン、コンテンツ、商品、ユーザーとのコミュニケーションの組み立てが必要になるのです。その形で最近成功している事例が「D2C」と言われるECの形で、ユーザーといっしょになって商品やブランドを共創し、コニュニティーを作っていくという発想のECモデルです。
話は変わりますが、MDの実務としては下記が挙げられます。
・収益計画に沿った在庫計画
・売れ筋、見せ筋商品の開発
・仕入れ先や製造会社の発掘
・メディアやSNS、セレクトショップでの他社ブランド売れ行き傾向の調査・分析
・自社ECサイトでの販売商品分析
・コーディネイト考案

 

3.集客プロモーション

どんなに商品が良くても多くのユーザーに見てもらえないと売上は立ちません。購入率の目標指標は1%と言われます。つまり、100人がECサイトにアクセスして購入するのはせいぜい1人買えば良し、とされます。月間100万円の売上を作るのに、注文単価が5000円の場合、少なくとも200人の購入者がいなくてはなりません。200人の購入者を作るには少なくとも2万人をECサイトに呼び込む必要があるのです。購入率が目標指標1%にとどかない発展段階のECサイトは無数にあります。購入率が0.2%の場合ではどうでしょうか?月商100万円を達成するのに必要なサイト訪問者数は10万人にも及びます。

●運用型広告について
ECサイトの集客を考える上で基本になるものが「運用型広告」です。雑誌広告テレビ広告のようなマス広告は認知度を広めることが主目的になり、その費用対利益を計測すること自体ナンセンスとされる部分がありますが、ネット広告のおける「運用型広告」はそれとは対比的で、売上獲得型で費用対利益を追究する広告手法と言えます。つまり、1件の注文を獲得するにのかかる費用(CPA)と購入率(CVR)を見ながら費用対効果がに見合う最適な収益構造になるように広告を永続的に運用していく、という集客手法が「運用型広告」です。

●運用型広告に適した広告メニュー
~アパレルやアクセサリーに適したメニュー~
アパレルやアクセサリーの場合、テキストよりもビジュアル画像で商品やブランドを訴求するほうが効果が高いため下記の広告メニューが一般的です。

・画像リスティング広告(キーワード検索連動広告)
・ショッピング広告
・ディスプレイ広告
・SNS広告(インスタグラム広告、フェイスブック広告)
・リマーケティング広告(後追い広告)

運用型広告の運用にはそれなりのノウハウと経験が必要になるため、慣れないうちは専門業者に運用をアウトソーシングすることも一般的です。その場合、広告出稿費の20%が運用代行費になることが多いです。最低広告出稿費を設けている業者もあれば少額の広告出稿費に対応した専用サービスを展開している業者もいるので様々ですが、自社ECサイトに最適な運用業者を選定するのが賢明です。

●SEO対策
広告に頼らずに集客を狙う手法がSEO対策です。SEO対策の基本は下記になります。

1.良質なコンテンツとコンテンツボリューム
2.サイト全体でのコンテンツの関連性
3.外部リンク

上記の要素を総合的に検索エンジンが評価し、サイトの検索順位を決定します。
1.良質なコンテンツとコンテンツボリューム:テーマに沿ったテキストコンテンツを作成する必要があり、テキストの内容にオリジナリティがあり、ユーザーにとって有益であり、更に内容が広範囲で深く充実したものが高く評価される傾向にあります。
2.サイト全体でのコンテンツの関連性:特定のページだけがテーマに沿った内容になっているのでははく、サイト内全体のページのテーマ関連性が高いことが高い評価につながります。バラバラのテーマのコンテンツが乱立しているサイトは評価されづらい、ということになります。
3.外部リンク:他のサイトからナチュラルなリンクが貼られていればいるほど検索エンジンからの評価が高まります。購入したリンクは評価を下げますので注意してください。外部リンクを積極的に増やす施策としては、ブランドに関係している人、例えば、クリエイターや協力会社の代表者などのインタビューコンテンツをサイト内で展開し、そのインタビュー出演者のサイトや会社のコーポレートサイトからリンクを貼ってもらう、というやり方があります。

●アフィリエイト広告
個人のブログや情報サイトにバナーやテキストの広告を成果報酬の形で出稿する広告メニューです。広告掲載後の売上や注文の実績に応じて費用を支払う仕組みのため、リスクが少ない形で集客できるのがメリットです。但し、相性の合うウェブ媒体を見極めていく作業と、媒体と良好な関係性を築いていく地道なコミュニケーションが必要とされます。A8netやバリューコマースといった、媒体をネットワーク化して広告主と媒体との間で代理店業務を行う専門業者が存在します。

●インスタグラムアカウント運用
こちらも広告に頼らずに集客を狙う手法になりますが、地道にフォロワー数を増やしていく必要があります。インスタグラムのフォロワーを増やすノウハウは書籍で販売されていたり、専門業者がセミナーを実施していたり、ネット上でノウハウが公開されています。
元々インスタグラムのフォロワー数を多く抱えているインフルエンサーが新たにEC専用のブランドを立ち上げて成功している事例も多く存在します。フォロワー=ファンがありきのブランドなので、ユーザーのペルソナや趣向を把握できているため、どんな商品を展開すれば売れるかを予測しやすく、ファンとのコミュニティが出来上がっているために売上が立ちやすい状況が出来上がっていると言えるでしょう。新しくブランドを立ち上げる場合は、インスタグラムアカウントでフォロワー数を一定数以上獲得することに主眼を置き、フォロワー数如何で実際のECサイトを企画・制作する、というEC展開の仕方も十分有効かと思います。

●インフルエンサーマーケティング
フォロワー数を多く抱えているインフルエンサーに、自社ブランドの商品やコーディネイト、展示会の模様などをインフルエンサーのインスタグラムに投稿してもらう、というプロモーション手法です。インフルエンサーに商品を渡して投稿してもらうことをギフティングと言います。広告とは異なり、ナチュラルな口コミ拡散の形を取るのでブランディングに効果的です。インスタグラム広告とインフルエンサーマーケティングを組み合わせることで効果を高めることができます。インフルエンサーによる投稿で認知を広げ、インスタグラム広告でユーザーをECサイトに送客、リマーケティング広告で初回購入やリピート購入を促す、といった、認知⇒サイト訪問⇒リピート化のサイクルをつくるのが効果的です。
また、自社ブランドと相性が良く、効果が高いインフルエンサーと、そうでないインフルエンサーがいますので、複数のインフルエンサーを効果検証しながらテストマーケティングしていくのが賢明です。効果の高いインフルエンサーとは関係性を強化してアンバサダーとして公式にタイアップするという手もあります。
インフルエンサーのキャスティングから投稿企画、効果検証までトータルに支援する専門業者も多く存在します。

●LTV(=ライフタイムバリュー)について
ECサイトの運用型広告を展開する上で重要な考え方・指標がLTV(顧客生涯価値)になります。LTVは注文単価×期間(1年~3年)で計算しますが、このリピート購入売上を含めたLTVが高いほうがECサイトの収益性が高まることになります。また、リピート購入売上を含めたLTVを加味して顧客獲得単価(CPA)を設定します。このCPAは運用型広告で設定と計測が必須になる指標で、このCPAを基準にして広告の費用対効果の良し悪しを判断します。
例えば、ユーザーの平均注文単価が10,000円、粗利益が5,000円、平均LTV(1年間)が50,000円の場合、1ユーザーから年間25,000円の利益を獲得できることになります。仮にCPAを注文単価と同額の10,000円で設定・コスト投下してたとしても初年度で15,000円の粗利益、2年目以降は年間25,000円の粗利益を獲得できる計算になります。CPAが低くできれば粗利益が大きくなるのでそれに越したことはありませんが、CPAは競合他社との入札で金額が調整されるため、市場の原理として利益が出るかでないかギリギリのところまでCPAが高騰するのが定説です。その場合に自社ECサイトのCPA上限を把握し、注文単価とLTVを引き上げるための施策を検討・実施することが重要になります。

 

4.サイト更新作業、バナー制作、特集ページ制作、メールマガジン制作

・ECサイト更新作業
ECサイト更新作業には以下のようなものがあります。
新商品のアップ
ランキングの更新
おすすめ商品の更新
ニュースの更新
予め更新曜日や時間を決めておくとルーチン作業化しやすく、ユーザーも決まった曜日・時間にサイトに訪問できるので便利です。

・バナー制作
特集ページに誘導したり、特定の商品カテゴリに誘導するためのバナー画像を制作します。バナーをECサイト全体の印象にも影響を与えるものでもあるので、誘導のための訴求をしっかりしながら、トーン&マナをECサイトから逸脱しないようにデザインするのが良いです。商品撮影やキービジュアル撮影の時にバナー画像で使用するためのカットを撮影しておくことがおすすめです。またキービジュアルの撮影では事前にバナー画像で使用する許諾をカメラマンやモデルから得ておくのが賢明です。インスタグラム広告などのネット広告にも転用することも考慮してバナー制作をするのも良いでしょう。但し、モデル画像の場合はモデル事務所への許諾を得ておかないと追加で費用を請求されることがあるのでご注意ください。
広告で使用するバナーに関しては、複数パターンを用意してABテストをするのが定説です。
ABテストのパターン例)
コピー違い
ビジュアル違い
訴求軸違い
運用型広告では複数のパターンのバナー画像を同時に配信し、アクセスを分散させて効果検証することが可能です。例えば、A, B, Cの3パターンの同時配信テストを行った結果、AのCTR(クリック率)とCVR(購入率)良かった場合、別パターンDのバナーを制作、AとDでテスト配信、その結果を受けて更にパターンEを制作しテスト配信、というPDCAサイクルを回すことで効果が最大のバナー画像を開発することができます。

・特集ページ制作
特集ページの内容は企画次第で様々な内容のコンテンツを展開することができます。下記がコンテンツ例になります。
コーディネイト紹介
インタビュー
キャンペーン
おすすめ商品
季節にあった新着アイテム紹介

売上効果を狙うものから、ブランディングを意識したものまで幅広い展開できるので、ブランドのアイデンティティを発信するのに有効です。特集ページごとに売上やページビューの効果検証をすると、次の特集企画にも活かすことができます。
特集ページの制作の仕方には2通りあり、オリジナルデザインで特集ページを作りこむパターンと、WordPressのようなCMSを使い、シンプルなページテンプレートを使って手間なくページを生成するパターンです。特集ページの内容や狙いによって、デザイン性を重視するコーディネイト紹介はオリジナルデザインで作りこみ、シンプルなページで十分なインタビュー記事はCMSで生成、という風に2つの作り方を使い分けるのもおすすめです。
ページ公開後の効果検証とともに、向こう半年分くらいの特集を企画しておいて、商品撮影やキービジュアル撮影の時に、特集ページで使用する素材の撮影も合わせて行うようにすると効率的です。

 

【バックエンド業務】

1.問い合わせ対応

専用管理ツール(問マネなど)を利用すると効率的に問い合わせ対応を行うことができます。専用管理ツールを使用することで、案件ごとにステータスや連絡方法(メール・電話)を一元化した管理ができるためで、やり取りの履歴も案件ごとに確認することができます。
問い合わせ対応は他のチーム(物流や商品企画、受注処理など)と連携して情報を把握した上でユーザー対応する必要があるため、チャットグループなどを使って効率の良い連絡系統を整備しておくとよいでしょう。問い合わせ対応を行うには、ユーザーの注文情報を瞬時に把握する必要があるため、問い合わせ対応業務と受注処理業務を1人のスタッフで兼務することで効率化を図ることができます。また、配送状況を把握するために、物流管理システム(WMS)を参照できるようにしておく必要もあります。
問い合わせ対応はブランディングにも影響を及ぼす業務のため、対応方針をブランドディレクターともすり合わせしておくこをおすすめします。
最近ではインスタグラムアカウントやFacebook、LINEとECサイトを連携させて、様々チャネルで商品を販売することが一般的になってきたため、各チャネルごとの問い合わせ対応が必要となっています。また、「D2C」=Direct to Consumerという新しい概念のECが台頭してきていて、「ユーザーとともにブランドを育成していく」「ユーザーとブランド側が一体のコミュニティとしてECを運営していく」という考え方のECサイトがユーザーから支持を得ています。そのようなD2C型のECにおいてユーザーとのコミュニケーションは単なる「問答」ではなく、ユーザーと良好な関係性を築いていくための重要なフロント業務と言うことができるでしょう。ユーザーとのコミュニケーション、信頼関係はSNS上で可視化され、他のユーザーにも拡散されるのでマーケティング・プロモーション活動の一環になりつつあるのです。

2.受注処理

ECサイトの管理画面で受注情報を確認・ダウンロードし、出荷指示を物流管理システム(WMS)に登録することと、注文ごとのステータス管理が主な業務になりますが、下記のようなイレギュラーな業務があります。
・特定の注文にだけノベルティを付与
・クーポン発行
・キャンセル、返品、返金処理
・棚卸時の在庫調整
・予約販売の在庫登録と注文管理
・入庫処理

3.ささげ業務(アパレルやアクセサリーの場合)

・商品撮影
アパレルやアクセサリーの場合、商品画像のクオリティーは購入率に影響するため重要になります。とは言え、商品数が多い場合は効率的に撮影する必要もあるため、ノウハウや経験値を積む必要があります。専門の撮影業者にアウトソーシングするのも手でしょう。撮影手法には下記のようなものがあります。
モデル着用
置き撮り
吊るし撮影
トルソー着用
ブランドのコンセプトやクリエイティブプランによって撮影方法を検討しましょう。また、アイテムごとのディティール部分をしっかり撮影し、アパレルやアクセサリーの場合、少なくとも1品番あたり5カット以上、商品詳細ページに掲載するのが有効です。あなたがお店で商品を見る時に、かなり近寄って隅々までチェックすると思います。時計の裏側やシャツのタグ部分、サングラスのケースなど、細分に渡ってじっくり見渡すように、ECサイトでも裏側の細部まで詳細が見えるようにバリエーションカットを掲載することが大切です。最近ではバリエーションカットに加えて動画を加えるECサイトもも増えてきました。

・商品説明文の作成
ユーザーが商品の特徴やこだわりを十分把握でき、商品がより魅力的に感じられる説明文を目指しましょう。ファッションライターに業務をアウトソーシングするのも有効です。

・商品登録
価格やJANコード、商品説明文、画像などを品番単位に整理したデータをECサイトに登録します。また、登録した商品をカテゴリナビゲーションで表示されるようにカテゴリ登録も行います。検索機能がある場合は検索キーワードの登録も行います。
また、検索エンジンと連動したショッピング広告を展開する場合はショッピング広告用のデータも登録する必要があります。

 

ECサイト運営・売り上げをアップさせるコツ

ECサイトの売上を上げるためには下記の3つの要素を追求していく必要があります。
1.費用対効果の高い集客
2.購入率の向上
3.リピート購入の促進

上記3つのうち、いづれか一つだけでも不十分な状態だと思うように売上が上がりません。リアル店舗に例えると、
・お店に人がこないと売り上げが上がる訳がない
・お店の雰囲気と商品が良くなければ売り上げが上がる訳がない
・一度購入してくれたお客様が何度も買ってくれるようにならないと安定した売上を確保できない
と言い換えることができるかと思います。
では、上記3つの事項をどの優先順位で対策していくべきでしょうか?賢明なのは、まずは「購入率向上」から手を付けるべきでしょう。何故ならば店構えと商品がユーザーにとって魅力的でない状態で、いくら沢山のユーザーをECサイトに呼び込んでも売上が上がる確度が低いからです。購入率の目標値は一般的なECサイトの場合、「1%」で考えるのが定説です。購入率が1%未満の場合は、まずはECサイトの見せ方や商品を改善して購入率を1%にすることが最重要課題になります。逆に1%に達している場合は集客に全力投球するべきです。
では、ECサイトを新規オープンさせる場合(ECサイトにアクセスがない状態)に、どのように購入率の計測と具体的な購入率改善の施策をとればいいか?大まかな手順としては下記になります。

 

≪購入率改善の手順≫

1.購入率を計測する目的でネット広告を少額(月額広告費:10万円~20万円程度)で2ヵ月間ほどテスト運用する。

2.Google Analyticsなどの分析ツールを使って購入率(CVR)を測定する。

3.(購入率が1%にかけ離れている場合)ヒューリスティック分析(※)によるECサイトの評価を行う。

4.ECサイト評価で導き出されたECサイトの改善ヶ所を改修する。
※ヒューリスティック分析とは経験豊富なECサイトにおけるUI/UXのプロが、その経験知によってECサイトを評価し、改善ヶ所を見出す分析方法です。専門業者に分析を依頼するか、関連書籍やネット上で情報収集をして独学で分析をするかを検討する必要があります。
この時にテスト運用する広告メニューはショッピング広告、インスタグラム広告が良いでしょう。

 

では、次に、ECサイトの改善項目には具体的にどういったものがあるか、下記に例を示します。

 

≪ECサイトの改善施策例≫

1.ユーザーがECサイトのどこにいても商品カテゴリーのナビゲーションを見ることができるようにナビゲーションを固定表示させる。

2.メールマガジンの登録エリアがトップページ上に設置されているか?また、様々な個人情報の入力が必要なく、メールアドレスだけの入力でメルマガ登録できる仕様になっているか?

3.商品一覧ページのサムネイル画像が小さ過ぎてないか?
ユーザーがサムネイル画像を見た際に商品の全体がはっきると見えるくらいの大きさにする(大き目の画像にする)のが良いです。商品一覧ページのサムネイル画像が小さ過ぎて商品の良し悪しが判断できないと、ユーザーは商品一覧ページの次のページである商品詳細ページに遷移する手間が増えてしまい、商品一覧ページと商品詳細ページを行ったり来たりすることになってしまうためです。

4.トップページ上に商品を陳列するコンテンツ(新着商品、ランキング、おすすめ商品など)が十分揃っているか?
新規ユーザーが初めてECサイトにアクセスした際、トップページ上で商品のバリエーションが一通り見れるようにすることで、ユーザーが自分の好みに合う商品を扱っているかどうかが瞬時に分かるようになります。また、トップページ上に商品が並ぶことで商品詳細ページまでの遷移数が減るため、購入率を上げる効果も期待できます。

5.トップページ上のニュースやトピックスはテキストだけではなく、サムネイル画像つきで表示させているか?
サムネイル画像をつけることで注目させたいトピックスの視認性を高める効果が期待できます。また、サムネイル画像をしっかりデザインされたものにすることでサイト全体の見え方がよりリッチでクオリティーの高いものになります。

6.スマートフォンを重視したサイトレイアウト、デザインになっているか?
スマートフォンの普及により、ユーザーがECサイトにアクセスする際のデバイスは80%以上がスマートフォンであるケースがほとんどです。ECサイトのデザインは「スマホファースト」という考え方で制作されるべきなのです。

7.トップページ上のメインビジュアル部分の画像の切り替わり方がブランドに適した挙動になっているか?
横から画像がスライドする動きよりも、フェードイン&フェードアウトのふんわりした優しい動きのほうがブランドに馴染む場合も多くあります。画像の切り替わり方でECサイト全体の印象が変わります。

8.商品数が多いECサイトの場合、検索機能が充実しているか?
商品カテゴリーでの誘導だけではなく、価格帯やカラー、予約商品、セール品など、様々条件をかけ合わせて検索できるクロス検索の機能を実装するとユーザーが希望の商品を探しやすくなり、購入率の向上が期待できます。

上記は改善施策の一例で、ECサイトごとに改善施策は変わりますので、しっかりとしたヒューリスティック分析をしてECサイトに最適な改善施策を抽出することが肝要です。

上記のECサイト改修によって購入率の向上を図るわけですが、購入率が1%を達成したら、次のステップは集客の拡大に着手すべきです。

LTV(ライフタイムバリュー)とCPA(顧客獲得単価)については上述した通りですが、LTVを計測することで導き出せる最適なCPAを設定したら、このCPAを超えない限り、極端な言い方をすると、いくらでも広告費用を投下して売上・利益を拡大させてOKなのです。但し、広告を拡大させていくと、必ずと言ってもいいほど設定したCPAに収まらない頭打ちの状況がやってきます。この場合の対策が前述した下記「ECサイトの売上を上げるための要素」の3「リピート購入の促進」になります。

1.費用対効果の高い集客
2.購入率の向上
3.リピート購入の促進

リピート購入頻度が高くなればLTVも高くなるため、設定するCPAも上げることができます。それによって、設定したCPAに収まらなかった広告もCPA内で展開できる可能性が高まります。
またCPAを引き上げても良い状態にするにはユーザーの注文単価を上げる、という施策もあります。

ユーザーの注文単価を上げるための具体的な施策が下記になります。

 

≪注文単価を上げるための施策≫

・リコメンドエンジンを実装することによる併売促進。
・コーディネイトコンテンツを用意し、組み合わせ商品を購入してもらうようにする。
・クーポンやポイントの発行(但し、実質的な値下げになるケースが多いので注意が必要)
・接客ツールやチャットによる併売促進
・ユーザーの購入履歴や属性に応じたメールマガジンによる商品訴求
・高単価商品の企画、販売

以上がECサイト運営で売り上げをアップさせるための基本的な考え方と具体的な施策例になります。

 

 

ECサイト運営・ブランディング施策

ECサイトのブランディングの必要性

2012年くらいまで、ECサイトに求められるものは「売上」だけでしたが、それ以降は「売上」だけでなく、「ブランディング効果」を発揮することも重要になっています。何故ならば、ブランドビジネスの中核に位置するウェブ媒体はもはやブランドサイトではなく、
ECサイトになりつつあるからです。そのことはデジタルマーケティングで日本の5年先を先行する、と言われている米国を見れば明らかで、一流ブランドのECサイトのほとんどがブランドサイトと一体型になっており、ECサイトを主軸にブランディングとセールスのためのマーケティングやオムニチャネル化が展開されています。特にファッションやアパレル、コスメのECサイトの場合はビジュアル的な訴求が重要なため、なおさらECサイトのブランディングが求められます。

 

ECサイトのブランディング施策

ECサイトの具体的なブランディング施策には下記が挙げられます。
・ECサイトのモデルに有名モデルを起用する。
・人気ブランドとのコラボレーション商品を販売する。
・著名人をECサイト上に出演させたコンテンツ(インタビュー記事など)を制作する。
・メディアの掲載情報をECサイト上に載せる。
・インフルエンサーマーケティング(インフルエンサーによるECサイト拡散)を実施する。
・デザインクオリティーの高いECサイトを制作する。
・クオリティーの高いキービジュアルを制作し、ECサイトで使用する。

ファッション、アパレル、コスメのECサイトの場合、特にキービジュアルのクオリティーは重要になりますので、優秀なアートディレクターやカメラマンを起用でき、モデルのキャスティングにも強い撮影パートナーと組んで撮影するのがおすすめです。

 

ECサイト運用にかかるランニングコスト

下記がECサイト運営にかかるランニングコストの明細になります。

1.人件費
下記の業務を遂行するスタッフの人件費
分析スタッフ
MD・商品企画
集客プロモーション
サイト更新作業、バナー制作、特集ページ制作、メールマガジン制作
問い合わせ対応
受注処理
物流業務
ささげ業務(アパレルやアクセサリーの場合)

それぞれの業務にスタッフ1人づつ配置すると人件費が高くなってしまうため、バックオフィス業務で1人、集客プロモーションや分析は1人のスタッフが兼務、というようにすると人件費を抑えることができます。また、最近では固定費がかからない物流会社があるので物流業務をアウトソーシングするのも手です。

・カートシステム利用料(ASPやSaaSの場合)
・サーバー費用
・SSL費用
・ドメイン費用
・問い合わせ管理ツール利用料
・物流費
・商品原価
・リコメンドエンジンや自動接客ツールなどのクラウドサービス利用料
・バナーや特集ページ制作費(デザインやコーディングを外注する場合)
・広告費、広告運用費
・コンサルティング費(コンサルティングを利用する場合)
・決済手数料

 

ECサイト運用代行

ECサイト運用経験者が社内にいなかったり、社内では運用スタッフを確保できない場合は、ECサイト専門の運用代行会社を利用するのも手です。すべての業務をまるごとアウトソーシングできますし、一部の業務だけに絞ってアウトソーシングすることもできます。ECサイト運用代行の費用を固定費で支払う契約もあれば、売り上げをシェアする契約形態もあります。ファッションやアクセサリー、アパレルのECサイトの場合、それらの商材・業界に強いECサイト運用代行業者を選定するのが賢明です。商品の見せ方、撮影方法、デザインにおいて業界を熟知している業者のほうがパフォーマンスが高い場合が多いからです。

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