【保存版カリキュラム】ECノウハウ
2016.06.26
ECサイトのブランディング手法
【目次】
1.ブランディングのためのポイント
2.低コストで実現させるブランディング手法 事例
3.ブランディングから派生するバズ効果
4.ブランディングの効果検証
1.ブランディングのためのポイント
前章「ECの成功に必要な6大要素」で述べたように、「商品力」や「集客力」があるだけではECサイトの売上を上げるには不十分で、「信頼性(ブランド力)」がないと思うように売上を上げることはできない。下記の図はECビジネスの全体像を示したものになるが、「集客」や「分析」「制作」などのECにおいて重要な業務同様、「ブランディング」に関しても常に力を入れていく必要がある。
ECビジネスの全体像
端的にブランディングのための手法を述べると、
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「すでにブランド力のある相手と組む」
相手: 「人」、「媒体」
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と言える。ポイントは“いかに低コストで実現させるか”。そこが重要。
では、無名店舗、無名ブランド、予算が限られたECサイトがどのようにしたら信頼性(ブランド力)を獲得できるかの方法を具体例を交えて説明する。
2.低コストで実現させるブランディング手法 事例
事例1.少資金のECサイトでブランディングに成功した例
THE OUTLET
商材:家具
無店舗・ネット発
【プロジェクトの特徴】
・高単価商品
・実物を見ないと購入に抵抗がある商材
【課題】
ユーザーが憧れるインテリア風景、ライフスタイルを見せる取り組みが必要
【実施したブランディング施策】
1.雑誌連動
2.有名スタイリスト出演
▼施策1
雑誌『インテリアJack』との連動
雑誌名、雑誌との企画内容、紙面イメージをサイト上にも掲載し、雑誌のネームバリューを利用することで、立ち上げて間もないECサイトを一気に、あたかも有名・人気サイトに思わせるような演出を実施した。
また、出版社とレベニューシェア(EC売上の成果報酬)で取り組むことで、高額な広告費や制作費などの先行投資を抑えることに成功できた事例になる。
▼施策2
有名インテリア スタイリスト 窪川 勝哉(くぼかわ かつや)氏 出演
窪川 勝哉(くぼかわ かつや) TV、雑誌、webのメディアのみならず、マンションのモデルルームのコーディネート、ホテルの客室プロデュース、企業カタログなど多分野で活躍中のインテリアスタイリスト。 2005年3月まで、TBS系のTV番組「ジャスト」の“お部屋改装し隊” のコーナーにもレギュラー出演。
肩書がしっかりした著名インテリア スタイリストにサイト上で登場してもらうことで、より一層の“人気感”“大型サイト感”を醸成している。実際にユーザーが
スタイリストの窪川氏を知っているかどうかはさほど重要ではなく、肩書をしっかりうたうことで、知らなくても“すごい人と組んでるサイト感”を演出することが重要なのである。
さて、この取り組みで得られたメリットをECのKPI(重要指標)の観点でまとめると下記のようになる。
つまり、トップページのファーストビューでユーザーの信頼を獲得することで、「直帰率」を低減させる効果が数値として確認できたのである。
また、ユーザーへの提案の幅、深さ、訴求力が強まることで、コンバージョン率(購入率)を増大させることに成功した。それと、雑誌からの流入により、集客力も獲得できた訳である。一石二鳥どころか、一石三鳥を達成できた成功例になる。
事例2.少資金のECサイトでブランディングに成功した例
サイト名:CQ
商材:Tシャツ
無店舗・ネット発
【プロジェクトの特徴】
ファッションECサイトの淘汰が進む中での新規立ち上げ。
【課題】
ファッションECサイトが乱立する中で、独自の付加価値、世界観を醸成する必要があった。
【実施したブランディング施策】
1.リアル連動
2.WEBマガジン連動
3.有名モデル出演
4.著名アートディレクター参画
▼施策1
人気ギャラリーと連動し、“Tシャツ展”を実施
実施ギャラリー PUBLIC/IMAGE 3D 東京都世田谷区池尻2-32-2 デパール池尻ビル1F
【同ギャラリーへの参加企業、アーティスト】
Adobe
チームラボ
ワーナーブラザーズ
メディコムトイ
鈴木心
ムラカミカイエ
園子温監督
塚本晋也監督
etc…
著名人の参加実績があるギャラリーとの取り組みを展開することで、サイトの存在価値、世界観をより深く訴求することができた。
▼施策2
人気WEBマガジンとの連動
クリエイターズ・ディクショナリー 『Public-image.org』
WEBマガジンと連動することで、作家のバックボーン、制作背景、世界観、他にはないコンテンツを見せる取り組みを展開することができ、ECサイト自体に対しても深いコンテンツ性、ストーリー性がある印象・イメージをユーザーに抱いてもうらうことができた。
事例3.少資金のECサイトでブランディングに成功した例
サイト名:COCONIAL
商材:家電製品
無店舗・ネット発、定価販売
クライアント: 家電流通(卸し)
【プロジェクトの特徴・課題】
家電という価格競争になりがちな商材を定価で販売しなければならない。
【実施したブランディング施策】
著名スタイリストの出演
▼施策
Hideya氏をコーディネイターとして起用
Hideya Life Style Creator(ライフスタイルクリエーター) 10代を米国ニューヨークで過ごし、モデル、ボーカリストとして活動し、ジェームスAスミスやジョージベンソンバンド他、さまざまなアーティストと共演を果たす。 現在は、ライフスタイルクリエーターとして国内外を問わず活躍の場を広げている。音・空間・食・香。 特技は料理。おもてなしにピッタリの手軽でシンプルな料理が得意。
家電商品をサイト上で陳列するだけではなく、インテリアとしても楽しめるように、複数の商品を組み合わせたコーディネイト写真を撮影、サイトで掲載。
それにより、商品の機能性や価格以外のメリットを提案することに成功。独自の付加価値を提供することができた。
3.ブランディングから派生するバズ効果(バイラル効果)
この章の冒頭で、
ブランディングのための手法
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「すでにブランド力のある相手と組む」 相手: 「人」、「媒体」
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と述べたが、そこでこの「人」と組むことで、ブランディング効果以外に、実は、集客につながる効果も期待できる。
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「人」 ⇒ 集客効果
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つまり、サイト上に出てもらう出演者には、フェイスブックやツイッターなどで多くのファンがいるため、出演者に自発的にサイトでの取り組みについて発信してもらうことができれば、バズ効果(バイラル効果)につながる。
告知協力してもらうためのポイントとしては、サイトへの帰属意識・当事者意識を持ってもらうことが重要。当事者意識が強ければ、内部スタッフとして自発的にサイトの告知をしてもらえる可能性が高まる。
具体的には、例えば、サイト上で彼らの名前やプロフィールを掲載することで、サイトへの帰属意識・当事者意識を持ってもらうことができるであろう。
話が脱線するようだが、ファッション雑誌などで、下記のようなストリートスナップの企画をよく見かけることがあるが、実はこの企画には雑誌の販売部数を伸ばす効果がある。
つまり、雑誌に掲載された人々は、自分が雑誌に載ったことを周りの友達などに言いふらすため、その周りの友達も雑誌を見たり、購入することにつながるのである。
4.ブランディングの効果検証
前述のようなブランディングのための取り組みで、果たしてどれくらいの効果を得られたどうかの効果検証をすることも重要である。下記に効果検証の例を挙げる。
【計測指標1】
▼直帰率
サイトを訪れたユーザーがサイトに対して信頼性を感じたり、知っている雑誌名や著名人などを見かけた場合、すぐに離脱してしまう率(直帰率)を下げられる可能性が高る。是非、アクセス解析ツールで施策実施前と実施後の直帰率を比較検証してみるのが良い。
【計測指標2】
▼購入率(CVR)
例えば、ブランディングのために、商品の撮影にモデル起用したとする。その場合、下記の要領でその効果を計測することができる。つまり、どのモデルの効果が高いか、を分析することができるのである。
【計測指標3】
▼訪問数
サイト上に出てもらった出演者によるフェイスブックやツイッターなどによるバズ効果(バイラル効果)が、どのくらい集客効果があったか、リファラーをチェックすることで確認することができる。