【保存版カリキュラム】ECノウハウ

2016.06.26

Google Analyticsを使ったECサイト分析手法 その1

ECの運用にはWEB解析(分析)が欠かせないが、ECの運用スタッフにマーケティング経験が豊富なスタッフがいるとは限らない。ECの担当者には大きく2パターンあって、営業・マーケティング系の経歴を持った人のパターン、クリエイティブ系(デザインやPRなど)の経歴を持った人のパターンが挙げられる。後者の場合は特に、担当者がたずさわってきた仕事と大きくかけ離れている、分析についてそもそも得意でない、といったことが多い。かと言って、リアル店舗と違い、ユーザーの動きや志向が見えないECの世界では、分析によってユーザーの動き・志向を読み解くことが必要なため、分析は避けては通れない領域である。

また、解析ツールには様々な分析メニューに加え、データを深堀するための機能が豊富なため、どこをどう操作すればいいのかが分からないことが多い。特に、多くの企業で使われている無料の解析ツールGoogle Analyticsは無料版のために、手ほどき的なマニュアルやサポートサービスがなく、大手企業の担当者であってもアクセス数とページビュー数、サイト滞在時間といった表面的で改善施策に繋がらない指標しかチェックできていないケースが意外と多い。

更に、数値やレポートを抽出するだけの分析は意味を成さない(売上に貢献しない)。数値やレポート結果を元に、具体的な改善アクションを企画し、実行に移して初めて売上効果を期待できるのだ。ところが、数値やレポートを抽出することだけに多くの時間を費やしている自己満足研究者タイプの担当者が多い。

ここで、たった2つの分析メニューだけをチェックすればサイト全体の傾向を把握でき、具体的な改善施策を導き出せる、というような分析手法を紹介する。

 

【分析メニュー その1】 集客改善

レポートの閲覧方法と重要指標について

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上記はGoogle Analyticsのレポート画面だが、チェックする項目は赤い矢印で示した「集客」>「チャネル」。赤く囲った部分にサイト全体のセッション(訪問数)、新規セッション率、新規ユーザー、直帰率、ページセッション(1訪問あたりのページビュー数)、トランザクション数(注文件数)、収益(売上)、eコマースのコンバージョン率(購入率)が表示される。※但し、この表示にはGoogle Analyticsの「eコマース トラッキングの設定」が必要。詳しくはGoogleのヘルプを参照。

 

ここで特に重要な指標が、

・セッション(訪問数)

・eコマースのコンバージョン率(購入率)

である。

ECビジネスの改善を考える際、改善の種類は大きく2つに分けられる。

1.集客改善

2.ECサイト自体の改善

「1.集客改善」に重点を置くべきなのか、「2.ECサイト自体の改善」に重点を置くべきなのか、それとも1、2の両方に重点を置くべきなのかを見極める際に手がかりになるのが、上述の「セッション(訪問数)」「eコマースのコンバージョン率(購入率)」である。

※以降、セッション→「訪問数」、eコマースのコンバージョン率→「購入率」と呼ぶことにする。

独自サイトの場合の購入率の目標値は1%で設定することが一般的である。(但し、一般よりも高額商品の場合は除く。)自社のECサイトの購入率が1%を大きく下回る場合は「2.ECサイト自体の改善」を最優先として考える必要がある。いくら集客を図っても効率良く購入に結び付かない状況であるため、集客にかけた費用が無駄になってしまうからだ。逆に、購入率が1%に近いか、上回る場合は「1.集客改善」を最優先として考え、「2.ECサイト自体の改善」は保留にするのが得策である。ユーザーさえ来れば購入に結びやすい状況のため、集客を拡大すべきだからである。購入率が1%に達しているのに、それ以上の購入率を求めようとサイト改善に取り組むと、改善にかかる時間・コストの効率が悪くなってくる。

次に、そもそも今集まっている訪問数の母数が十分か不十分かを判断するには、下記の計算式で判断できる。

最低限獲得したい購入件数 ÷ 購入率 = 必要とされる訪問数

この購入率に現状の実際の購入率を充ててもいいが、実際の購入率が一般的目標値1%を下回る場合は、この1%を充てることで、自分のサイトが目標水準の購入率を達成できた場合の必要訪問数の目安を確認することができる。

また、必要とされる訪問数と比べて実際の訪問数が極端に少ない場合は、現状の購入率は不安定な数値である可能性が高いため、ある程度訪問数を増やしてから購入率を再計測するのが良い。訪問数が極端に少ない場合、たった数件の購入件数で購入率が大きく変動してしまうからである。

 

具体的な改善施策を企画する上でのレポート閲覧方法

前出のGoogle Analyticsレポート画面の、下記の赤枠部分を参照することで具体的な改善施策を導き出すことができる。

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上記の赤枠の部分が示しているのが流入経路(1~6)ごとのセッション(訪問数)、トランザクション数(注文件数)、収益(売上)、eコマースのコンバージョン率(購入率)などである。

1~6の各流入経路は下記を示している。

1.Direct: ブラウザにURLを直接入力してアクセスしたユーザーやブックマークからの流入

2.Organic Search: 検索エンジン(リスティング広告ではなく自然検索結果)からの流入

3.Referral:参照サイト経由からの流入(外部サイトから貼られているリンク経由で来た流入)

4.Paid Seach: 検索エンジン(リスティング広告経由の流入)

5.Other: メルマガやキャンペーンなど(レポート画面上の「Other」をクリックするとその明細が表示される)

6.Social: FacebookやTwitterからの流入

 

上記をチェックすると、訪問数が多いが購入率が低い流入経路、逆に訪問数は少ないが購入率が高い流入経路が見えてくる。ここで導き出せるのが下記の施策である。

・訪問数は少ないが購入率が高い流入経路  【改善施策】 該当流入経路の訪問数を増やす。

 

レポート画面上の「Organic Search」「Referral」「Paid Seach」をクリックすると、「Organic Search」の場合は具体的な検索キーワードのリスト、「Referral」の場合は具体的なリンク元サイトのリスト、「Paid Seach」の場合は具体的な広告出稿キーワードのリストが表示されるため、どのキーワードの流入を増やすべきか、どのリンク元サイトからの流入を増やすべきかをピンポイントで把握することができる。例えば、Paid Seach(リスティング広告)から購入率が高いキーワードを特定した場合、同キーワードの出稿量(表示回数)を増やすとともに、SEO対策の重点キーワードとしても追加する、などが具体的な改善施策として挙げることができる。また、Referralの場合は購入率が高いサイト(=有力サイト)からのバナーをより大きく、インパクトがあるバナーに差し替えてもらう。更に、有力サイトに対して売上のバックマージン(成果報酬)を支払うようにすることで、バナーの設置場所も今よりも目立つ場所に変更してもらうための交渉をしやすくする、などの具体施策が考えられる。

上記の分析手法で「集客」に関する具体的な改善施策(1.集客改善)を導けることができる訳だが、サイト自体の具体的改善施策(2.サイト自体の改善)を導く手法については次章で説明する。

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