マーケティング

2018.10.30

ファッションECの「ファーフェッチ」はなぜ世界から注目されるのか

「服はネットで買うもの」が若者を中心に定着しつつあるが、それを支えているのは巨大かつ高度にシステム化された大手ファッションECサイトだ。

今年の9月にニューヨークにて上場を果たしたロンドン発のECサイト、「Farfetch(ファーフェッチ)」は、時価総額が80億ドルを超える成長を見せており、今やファッション市場に大きな影響を及ぼす存在となっている。
欧米だけでなくアジアでもその影響力を拡大しつつあるファーフェッチは、なぜ世界から注目を集めるファッションECとなっているのだろうか。

世界最大手のファッションEC「ファーフェッチ」

ファーフェッチは在庫を持たないECサイトであることが何よりの特徴だ。商品は各国のセレクトショップの在庫に任せ、1500を超えるブランドから好きな品物をサイトを通じて購入することができる。
取り扱うブランドはラグジュアリー寄りのものが大半で、パリやミラノ、ニューヨークのブティックを練り歩くような買い物をネット上で体験することができるというのがこのサイトの特徴だ。

一方、国内のファッションECといえばZOZOがまず頭に浮かぶが、ZOZOは自社で在庫を抱えるタイプのECである。
ZOZOではオリジナルブランドも今後展開していくことが発表されており、、在庫を抱えないECであるファーフェッチとは異なるアプローチで拡大していくことが考えられるだろう。

 

アジアでも勢力を伸ばす

欧米でのファッションECとして成長してきたファーフェッチだが、最近ではアジアへの進出にも積極的だ。

ファーフェッチは7月、中国のCURIOSITYCHINA(キュリオシティチャイナ)の買収を発表した。キュリオシティチャイナは中国国内でのSNSやECの戦略サービスを、DIESEL(ディーゼル)などのアパレルブランドに提供していた大手企業だった。

 

参考サイト:https://www.wwdjapan.com/660627

この買収によりファーフェッチは、中国国内でのサービス向上や顧客サポートの充実、在庫管理システムの統合を推し進め、東アジアでの存在感をさらに拡大していく見込みだ。

ファーフェッチに出店しているブランドは、キュリオシティチャイナが展開していたWeChat(微信)アカウントの運営なども利用できるようになったことで、中国市場への浸透が迅速に進むとも考えられるだろう。
WeChatは中国発のメッセンジャーアプリで、10億人を優に超えるユーザーを獲得している。

近年では中国以外にも、ヨーロッパを中心に70以上の国からユーザーを獲得していることから、ロンドン発のファーフェッチにとってWechatを押さえることは重要な意味を持つのだろう。

また、ファーフェッチは日本のユーザー向けサービスもすでに展開しており、日本語にも対応し、オフィスも都内に存在する。
中国と日本に東アジアの拠点を固めたことで、ますますファッションECの競争が激しくなっていくことが予想される。

ファーフェッチに学ぶ、ファッションECの展開方法

ファーフェッチが展開してきたECサービスは、自分で在庫を抱えてアパレルを売らないことを徹底してきた点が鍵となっている。

 

誰もリスクを負わないサービス設計

ファーフェッチは自分で在庫を抱えないことで、誰もリスクを追う必要のないサービスを展開できるとしている。

まず、商品価格は定価、もしくはそれ以下となっており、顧客が送料以外のサービス手数料などを払わされることはない。それどころかサイトでは積極的なクーポン配布も行なっているため、時としては通常より安く購入できることもあるだろう。

そして、商品を提供するセレクトショップも、販売手数料を支払うだけで最大規模のECサイトで商品を販売できるため、EC用に人員を揃え、在庫を確保する必要はない。

ファーフェッチは最新のテクノロジーを用いた徹底したリアルタイム在庫管理により、自社で在庫を抱えずとも世界最大規模のECを円滑に運営し、販売手数料によってマージンを得ることができているのだ。

 

商品主体の検索流入

また、ファーフェッチは自社の名前やブランドそのものよりも、販売商品の検索流入に力を入れることで、確実に商品の販売につながるようサイトを設計している。

ECサイトのブランドよりも、商品の露出を最大化しているのはファーフェッチの大きな特徴だ。
プライベートブランドの進出も控えるZOZOには真逆の施策が必要となる一方、無在庫で質の高いECサービスの提供に力を入れるファーフェッチだからこそできる戦略と言えるだろう。

 

購入のハードルを限りなく低くするための施策

ファーフェッチは、日本を含む海外での顧客獲得を確実なものとするため、購入に伴う不安を小さくする施策の導入にも積極的だ。

顔や実態が見えないオンラインサイトで気軽に買い物を楽しんでもらうためには、顧客に安心感を与えることが重要であるとファーフェッチは考える。
ファーフェッチでは、商品の購入にあたって商品価格はもちろんのこと、送料や関税がいくらかかるのかを購入手続きの際に明らかにしている。

また、返品対応も無料で行うといった充実したカスタマーサポートを整え、購入のハードルを極限まで小さくすることで高い利用率を誇っているのだ。
海外のサイトで購入するというのは不安の多い取引となってしまいがちだが、日本でのオフィス展開も含め、ファーフェッチの施策はもはや実店舗と変わらない安心感を与えるものとなっていることがわかるだろう。

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