マーケティング

2019.01.07

ファッションECにおけるサイズ問題を解消する方法

ファッションECが実店舗に劣る点の一つが試着できないことによるサイズの問題である。オンライン上では試着して自分の体にフィットしているかどうかを確認できないため、訪問者の購買意欲を大きく減退させている主要因となっている。

それでもファッションECへの注目が高まる中、各企業においてサイズ問題の解決に向けた様々な取り組みが見られる。

各ファッションECサイトの解決方法

サイズ感を少しでも訪問者に理解してもらうために最もシンプルな方法として、服のサイズだけでなくモデルの体格も数値化してサイト上で提示するというものが挙げられる。

例えばBeamsのオンラインショップではこのやり方を採用しており、モデルの身長と服のサイズを明記し、だいたいこれくらいの身長であればこのくらいのサイズ感ということがわかるようになっている。

https://www.beams.co.jp/

しかしながらこれもまた、あくまで目安の域を超えない施策であり、「結局自分の体にフィットするか?」という疑問を全て拭い去ることはできない。

 

大手アパレルが続々と導入する「Virtusize」

データを用いて極めて正確にジャストサイズを選ぶ手段として、様々な大手ファッションECサイトで導入されているのが「Virtusize」だ。

https://www.virtusize.jp/

このサービスは手持ちのアイテムと買いたいアイテムを比較し、自分にフィットするアイテムを選ぶことを可能にしてくれる。また、サイズ基準での商品検索も可能なため、複数のジャストフィットアイテムの中から商品を選択することもできる。それによりユーザーが気付かなかった新たな商品に触れる機会を提供することも可能になる。

導入の際もタグをサイト上に埋め込むだけというシンプルなもので、サイト運営者にとっても利用のハードルが低いのもメリットの一つだ。

すでにユナイテッドアローズやアーバンリサーチ、メゾンキツネやバレンシアガなどの大手ブランドにおいて導入が進んでおり、今後も国内を中心に導入サイトは増加していくことが見込まれる。

 

ユーザーの身体情報を入力してジャストサイズを導く「unisize」

virtusizeは服の情報からジャストサイズを導き出していたが、「unisize」はユーザーの身体情報を簡単なアンケートから把握し、推奨サイズを提案してくれるというものだ。

https://cl.unisize.makip.co.jp/

手元に服がなく、自分にどのようなサイズが適切なのかがわからないという場合にこの方式が有効で、着用イメージを確認しながらジャストサイズを導けるのは、服を買うのに慣れていない人にも使いやすいシステムといえる。

実際の導入企業もジーンズのLeeやRight On、サカゼンなど庶民的なブランドが並んでいる点が特徴的だ。

 

ジャストサイズのPB商品を提供「ZOZO」

身体情報からジャストサイズを提案することで今年最も話題となったのがECサイトのZOZOが提供する「ZOZOスーツ」である。

http://zozo.jp/zozosuit/

これは専用の測定用スーツを着用し、写真に収めることで瞬時に計測を行い、ZOZOが独自に展開するプライベートブランド商品を注文することができるというものだ。

サイズ計測を通じて注文した商品はそのデータを元に自分用に生産されるため、寸分の狂いもなくちょうど良い服を手に入れることが可能になる。現在はシンプルなTシャツやジーンズといったラインナップに限定されているが、ユーザー増加に伴い、今後は商品数も増加されていくであろう。

試着サービス強化によるサイズ問題の解消も

サイズ問題の解消はデータによる解決策だけでなく、オフライン上の試着サービスを強化することによって解決するという方法も試みられている。

 

充実した返品制度を持つ「Nike.com」

ナイキのオンラインショップである「Nike.com」では、オンラインで注文したシューズのサイズ変更だけでなく、カラーも変更してくれるという充実した返品システム、つまり事実上の試着サービスが整っている。

http://urx.space/OMzG

商品が家に届いた時点で返品用の書類も同封されており、気軽に返品サービスを利用できるようになっている。

 

MAGASEEKの「おうちde試着」

ファッションECサイトのMAGASEEKでは、返品送料0円の「おうちde試着」サービスを展開している。

https://www.magaseek.com/static/cont/id_HENPIN

商品を注文して、発送から9日以内であれば送料無料で返品対応に応じてくれるというもので、ナイキの施策と同様、「とりあえず買ってみる」のハードルを大きく下げることに成功している施策といえるだろう。

ファッションECにおけるサイズの問題は、サイズ計測システムの整備などテクノロジーの力を用いて解決する方法と、返品対応を充実させることで解決する二つの方法が現在ポピュラーな手段として試みられている。前者はサイトに専用システムを実装する必要があり、後者は返品レギュレーションを整備する必要がある。

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