事例にみる優秀サイトのポイント
2017.05.22
定期的に配送されてくる商品の試着ができるECサイト「Stitch Fix」
ファッションECへの不満としてよくあげられるのが「試着ができない」ということだ。試着ができることは店舗にしかない強みとも言える。
しかし、実は現在、試着ができるファッションECのStitch Fixが米国で大人気となっている。2016年には5億ドル(555億円)以上の売上をあげていると予測されている。
当記事では、Stitch Fixでの試着サービスとはどのようなものか、2011年創業以来、どのようにここまで急成長できたのか、その背景に迫る。
試着できるECサイトStitch Fix創業のキッカケ
http://www.mytotalretail.com/article/katrina-lake-founder-andceo-stitch-fix/
創業者のKatrina Lake氏はスタンフォード大学でビジネスアナリスト・エコノミクスを専攻後、2011年にハーバードビジネススクールでMBAを取得し卒業した才媛。
ハーバードビジネスクールに在学中、Lake氏は忙しい女性が友人・知人に多いこともあって、多くの忙しい女性が自分にぴったりの服を購入するための時間を確保するのが難しく感じていることを知った。
そこで、Lake氏は忙しい女性が自分にぴったりの服を簡単に購入できる新しいECサイトのモデルを創り出したいと考え、個々の顧客にパーソナライズドしたファッションアイテムが容易に購入でき、かつ試着もできるECサイトStitch Fixを創業したのだ。
利用の流れ
Stitch Fixを利用する上でまず顧客は細かな質問に答える。
サイズ
身長、体重、ファッションアイテム(ドレス、シャツ、ブラジャー、スカート、ボトムス、ジーンズ、靴)の標準的なサイズ、妊婦向けの服を希望しているかどうか、身体の形(ひょうたん型、トライアングル型など)、ウエストの位置などを答える。
フィット/カット
トップスのフィット感の好み(タイト、適度にフィット、ストレート、ゆったり、大きすぎ)
トップスがフィットした時のトップスのウエストのゆとりや長さ、ボトムスの中間でのフィット感、ジーンズの好みのスタイル(スキニー、ストレート、ブーツカット、ワイド)、ジーンズの希望の長さなどを選択する。
スタイル
さまざまな着こなしの写真を評価(嫌い、OK、好き、すごく好き)、アイテムを着るシーンを選択(仕事、ビジネスカジュアル、夜の外出など)を選択する。
ファッションアイテムの価格帯
アクセサリー、ボトムス、ドレス、ジュエリーなどそれぞれのアイテムの希望の価格帯を入力
顧客自身について
誕生日、職業、子供がいるかどうか選択、SNSのユーザーネームを入力
上記の質問から得た顧客情報とアルゴリズムの組み合わせで導き出した個々の顧客に最適な5つのアイテムを定期的に配送する。
配送頻度は2~3週間毎、1か月毎、2カ月毎、3か月毎と選択できる。なお、アイテムの発送前に20ドルのスタイリング料金が課金される。
顧客は3日以内に気に入ったアイテムだけ購入し、購入しないアイテムは同梱の返品袋で返品する(返品料はStitch Fix負担)アイテムは1つから購入でき、5つのアイテムすべてを購入すると25%割引される。
1000人のスタイリストとアルゴリズムの組み合わせ
前述のようにStitch Fixは顧客情報とアルゴリズムによって個々の顧客の好みに合わせたアイテムを導き出す。Stitch Fixは80人のデータサイエンティストを雇用しており、彼らがアルゴリズムを組んでいる。そのアルゴリズムが導き出したアイテムが本当にその顧客に最適なのかどうか最終的に決定、責任を持つのがStich Fixが雇用している1000人のスタイリストだ。Stitch Fixは機械と人を上手く組み合わせた先進的なECサイトでもある。
データを活用したパーソナライズが鍵
忙しい人はお店に行って自分好みの服を試着して購入する時間がない。そうはいってもECサイトでは試着できない。そんな課題があった。
Stitch Fixは何十問の質問項目をもとに得た顧客情報(顧客情報)とアルゴリズムによって個々の顧客へパーソナライズしたファッションアイテムの提供、さらにこれまでのECサイトにはなかった試着サービスにより上記の課題を解決して大成功した。
データを活用したパーソナライズで急成長を遂げているStitch Fixから参考にできることは多いだろう。