事例にみる優秀サイトのポイント
2017.07.20
成熟した消費社会の消費者に寄り添ったECサイトのあり方とは?サステイナブルなファッションアイテムを販売するECサイト「Modavanti」
物が飽和している時代。消費者は単に商品の価格や機能性だけでなく、商品の背景にも注意を払うようになっている。
そんな時代、商品を並べただけの自動販売機的なECサイトで成功するのは難しい。消費者の価値観に寄り沿った商品を並べ、商品の背景が伝わるコンテンツを提供していかなければならない。
今回ご紹介するModavantiは今後のECサイトのあるべき姿として良いお手本と言えるだろう。
Modavantiはサステイナブルでエコフレンドリーなファッションアイテムだけを集めたECサイト。2012年、米国ニューヨーク市において設立された。
創業のキッカケ
https://www.33voices.com/authors/david-dietz
Modavanti創業者のDavid Dietz氏(以下David氏)はジョージタウン大学に在学中、友達と一緒に社会起業サークルを運営していた。
David氏は社会起業について勉強をする中で、社会的に良い影響を与えるファッションブランドを立ち上げたいと思うようになった。David氏は、人々の日常生活に欠かせないものであり、より広範囲に影響を与えられるジャンルのファッションに着目した。
食品業界をはじめ消費者はサステイナブルでエコフレンドリーな商品を求める傾向が高まりつつあった。しかし、David氏が起業のアイデアを練っていた2010年当時、サステイナブル、エコフレンドリーでかつ洗練されたファッションアイテムを販売しているファッションブランドはなかった。そこで、David氏は独自のファッションブランドを立ち上げることにしたのだ。
通常のECサイトとは異なるModavantiのサイト
ModavantiのECサイトが通常のファッションECサイトと大きく異なる点はファッションアイテムをチェックする際のカテゴリーにある。
通常のファッションECサイトなら男性用、女性用、服、靴などのカテゴリーだろう。
その点、ModavantiのECサイトは異なる。「WellNess」(健康にイキイキと生きること)というカテゴリーが用意されている。このWellNessにカーソルをかざすとさらに8つのカテゴリー(Modavantiが設定したWellNessな8つの基準)が表示される。
「アメリカ製」
「職人の手織り」
「リサイクル可能な素材を使用」
「フェアトレード」
「べガン(動物由来の素材を使用していない)素材」
「オーガニック素材」
「エコ・フレンドリー」
「ゼロ・ウェイスト(ごみの発生を減らす取り組む)」
消費に対する意識の高い消費者といってもその価値観は様々だ。たとえば、ある人はオーガニック素材の商品には興味ないが、エコフレンドリーな商品には興味がある場合があるだろう。消費者がそれぞれの価値観に沿って商品を選べるようなカテゴリーを設けているのだ。
アメリカ製のカテゴリーをクリックするとアメリカ製の商品一覧が表示される。オーガニック素材のカテゴリーをクリックするとオーガニック素材の商品一覧が表示される。消費者が自分の価値観に沿って商品を購入できるよう設計されているユーザーフレンドリーなECサイトなのだ。
http://modavanti.com/khadi-tiered-dress-in-black-by-indigo-handloom/
それぞれの商品ページにも前述の8つのカテゴリー(基準)が表示されている。
たとえば、ドレス「Khadi Tiered Dress in Black by Indigo Handloom」の場合。「職人の手織り」「フェアトレード」「べガン素材」「オーガニック素材」「エコ・フレンドリー」と8つの基準のうち5つを満たしている。
http://modavanti.com/conscious-standards/
また、それぞれの基準に対する説明も充実している。
http://modavanti.com/wellness/artisan/
例えば、8つの基準の内の1つの基準「職人の手織り」とは何を指し示すのか。職人に対して正当な賃金を支払っていること、手織りの工程で機械による無駄なエネルギーを消費していないこと、労働者が安全に働ける環境を確保している。それら製造工程における基準を満たしているものだと説明されている。
Modavantiでは商品背景についてしっかり説明がなされているため、消費者は安心して商品を購入できるのだ。
今回ご紹介したModavantiの事例から学べること。これからのECサイトでは現代の消費者の価値観に寄り沿った商品を販売することの重要性。そして、それらの商品の背景がしっかりと消費者に伝わるコンテンツ・レイアウトを備えたサイト作りが今後求められるといえる。