マーケティング
2017.12.08
SNSとビットコインで広がる“越境”CtoC-EC
経済産業省の調べによると、中国の消費者がインターネットで海外製の商品を購入するいわゆる「越境EC」のうち、日本経由の市場規模は1兆366億円。対前年比が30.3%と飛躍的な伸び率を示している。その越境ECの成長を牽引してきた大きな力の一端を担うのがCtoC市場だった。
フリマアプリが切り開く越境CtoC-EC
https://www.smartauction.jp/
2017年2月にメルカリが完全子会社化したザワット(Zawatt)が運営する「スマオク」は、そんな越境CtoC-EC市場の拡大に貢献してきたサービスの一つである。中古ブランド品を中心に取り扱うスマートフォン向けのフリマアプリで、2016年には越境コマース出品に対応。また、商品を1点ずつ決済・発送するルールを廃止し、海外の購入者が複数の商品を購入した際、まとめて1個口で梱包・発送できるようにするなど、越境CtoC-ECを意識したサービスを展開してきた。
「スマオク」では、自動翻訳機能や会話テンプレート集を提供。外国語を使えなくても海外の買い手と無理なくコミュニケーションを成立させることが可能だ。また、海外に商品を発送する際の煩雑な事務手続きもサポートし、利用者にとって手間やリスクが少ないのが特徴だ。取引手数料が10%と、海外転売サイトのような高い中間マージンを支払う必要がないのも利用者にとって大きなメリットと言えるだろう。
SNSを通じた越境フリマ
フリマアプリよりさらに手軽に越境CtoC-ECを実現するのが、SNSを通じた取引だ。最近特に目立っているのがSNSを介した「購入代行」で、SNS上で「#代行」でタグで検索することで、欲しい商品を代行して購入してくれる人を探すというもの。目当てのものが見つかればDMで依頼し、完全に個人間で取引が行われる。
SNSというプラットフォームの性質上、売り手と買い手が趣味や好みにおいて共感しあえる場合が多い。DMを送って取引を開始する気軽さがあり、そのまま相互フォローしてコミュニティを形成するケースもあるようだ。また、海外転売サイトはもちろん、フリマアプリを利用するよりも安価に欲しいものを手に入れられるのも大きなメリットとなっている。
ビットコインで取引はさらにスムーズに
こうしたSNSを通じた越境CtoC-ECにおいて重要な役割を果たすことになりそうなのが、ビットコインをはじめとする仮想通貨の存在だ。PayPalのようにクレジットカードを所有する必要がなく、送金にも一切の手数料がかからない。また、外貨立てで決済が行われるシステムのように、為替変動によって想定以上の代金を支払うリスクもない。
現時点では、保護者の同意書などがあれば、未成年であっても仮想通貨の口座を開設することができる。クレジットカードを持てない若者層にとって利用価値が高く、実際、SNSを通じた越境CtoC-ECにおいてビットコインが利用される例も出てきているようだ。
最後に
中国人消費者が越境ECを利用する理由は、主に「商品の品質が保証されている」「低価格」「国内で入手できない」ことだと言う。それらのニーズを担保する越境CtoC-ECの動きからますます目が離せない。
平成28年度 電子商取引に関する市場調査
http://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170424001/20170424001-2.pdf