事例にみる優秀サイトのポイント
2016.08.22
【海外最新事例】 スワイプで男女のマッチングができる出会い系アプリ「Tinder」のファッション版「Grabble」
海外において、男女がお互いのプロフィールにスワイプ(画面を横にスライドさせること)で◯✕判定を行い、マッチングをする出会い系アプリ「Tinder」が流行っている。このスワイプでマッチングをするスタイルをファッションECに応用しようというのが今回ご紹介するGrabbleだ。2015年にリリースされた。
Tinder
Grabble
小さなファッションブランドからアーバンアウトフィッター、ユニクロのような大きなファッションブランドまで2000以上のファッションブランドがGrabbleに商品を掲載している。毎日150万のスワイプを記録しており、そのうち3%が購入にいたっているそうだ。
このGrabbleが生まれたきっかけから、実際にどのようにGrabbleを利用できるのか、そしてGrabbleから見る顧客データを活用したファッションECのあり方を考察する。
アプリGrabbleが生まれたきっかけ
創業者はITコンサルタント企業で働いていたJoel Freeman氏と、PR企業で働いていたDaniel Murray氏だ。両氏はオンラインショッピングをするたびにその利用体験の悪さにイライラしていた。
両氏はもっと便利なECサイトを作ろうと、好きな商品を簡単にブックマークできるショッピングECサイトの構築を思いついたのだった。そのブックマークした商品は他のユーザーが見たり、また他のユーザーがブックマークした商品を見ることも可能なサイトとした。そのビジネスは一応は成功したのだったが、両氏はもっと面白いことをしたいと考えるようになった。
両氏はスタートアップを含む、中小ファッションブランドは顧客データを活用し、顧客それぞれに最適な商品を表示するような販売の仕方がまだまだできていないと感じていた。中小ファッションブランドもできるものならそのような緻密な販売の仕方をして売上を上げたいと考えていたが、コスト面、顧客データの少なさから実行が難しかった。
そこで、両氏は顧客データを活用した商品販売を支援するプラットフォームを提供できればファション業界に大きく貢献できるだろうと考え、Tinderを参考にしたショッピングアプリを作ることにしたのだった。
Grabbleの利用方法
多くのユーザーが利用しているのは「Daily finds」だ。Grabbleのファッションスタイリストが厳選したファッションを閲覧できる。右にスワイプすると「Grab it」できる。「Grab it」は簡単にいうとその商品をブックマークすることだ。
左にスワイプする「Throw it」は残念ながら自分の好みではなかったとしてブックマークされない。
また、Grabble上で表示される商品にユーザー自身でフィルターをかけることができる。フィルターの項目は性別、服の種類、服のスタイル、服のカラー、ブランド、値段などである。
また、「Inspiration」というコンテンツがあり、ファッションに関連した記事を読むことができる。なお、この記事は記事広告となっているようだ。
「Grab it」した商品(お気に入り商品)は「My Grabs」に保存されることになる。後から見返して購入することが可能だ。もちろん表示される商品は「Grab it」、「Throw it」するだけでなくその場で購入することもできる。
アプリ内で取得した顧客データを武器に成長
Grabbleはそのシンプルなユーザーインタフェースが特徴的で、ユーザーにとって利用しやすいところに強みがある。実際に毎日150万回以上のスワイプがされているのだ。
また「Grab it」、「Throw it」でユーザーの好き・嫌いという価値ある顧客データを取得していることも強みになっている。この取得したデータを用いて、どのような商品をユーザーに訴求していけば、より売上を伸ばせるのかファッションブランドに対して提案することもできる。また、蓄積されたデータを元に個々のユーザーそれぞれに合わせ、購入される可能性の高い商品の記事広告を作成し表示していくことも可能としている。
単なるTinderのファッション版というわけではなく、データを活用した強力な販売促進力を持ったファッションECプラットフォームとして成長していっているのである。