事例にみる優秀サイトのポイント
2016.09.26
【海外事例】 雑誌にも引けをとらないWebマガジンで注目を浴び続けるECサイト「Net A Porter」
コンテンツマーケティングが企業のマーケティング活動のメインストリームになりつつある今、ECサイトに関しても、まるでウェブメディアのように凝ったコンテンツが掲載されている「メディア型ECサイト」が増えている。その先頭を行くのが今回ご紹介するファッションECの「Net-A-Porter」だ。2000年に英国において設立された。1日に世界中の数千人の顧客が買い物をしている人気ECサイトである。
紙のファッションマガジンの編集者を引き抜いて作った、また世界的なモデルも登場する本格的なWebマガジンを備えたECサイト
創業のきっかけ
Natalie Massenet氏は大学を卒業後、ファッションモデル兼スタイリストとして働き始め、1993年にはWomen’s Wear Daily、Tatler誌でファッションジャーナリストとして働いていた。
Natalie氏は古着を買うのが趣味だったので、インターネットでも古着の買い物をしていた。しかし、意外なことに当時、高級ブランドの服はネットでは販売されていなかった。ファッション業界の友達に話しても、誰もこのチャンスに取り組んでいないことがわかったのだった。そこでNatalie氏はこれまでのファッションジャーナリストとしての経験を活かしてマガジン風のECサイトを立ち上げるビジネスアイデアを思いついたのだった。
週刊Webマガジン「Net-A-Porter」
Webマガジンは週刊となっている。
試しに6月23日発刊のWebマガジンを見てみよう。Webマガジンは全部で34ページの構成となっている。
最初のページはコンテンツの目次一覧だ。コンテンツには靴に関するインタビューが掲載されている。米国のファッションデザイナーのオルセン姉妹がレクチャーする靴と服のあわせ方、スーパーモデルのアンジャ・ルービック氏へのインタビュー、ノルウェーやバルセロナといった旅先の紹介などのコンテンツが掲載されている。
目次からすでにNet-A-PorterのWebマガジンがかなり充実したものであることが分かる。
こちらはファッションデザイナーのオルセン姉妹がレクチャーする靴と服のあわせ方を紹介しているページ。
ページ上のこれらの服は購入可能だ。たとえばカーソルを靴の上にあわせると赤枠で囲まれている靴の上に「SHOP NOW」という表示が出る。これをクリックすると靴の商品詳細ページが出てくる。ここから靴を購入することが可能だ。
ポーランド出身のスーパーモデル、アンジャ・ルービック氏へのインタビュー。このインタビュー記事のアンジャ氏が着ている服も購入することができる。
旅をテーマにした記事。バルセロナの見どころ、宿、レストランを紹介している。また旅先においてどんな服が似合いそうか紹介している。この紹介している服ももちろん購入可能だ。
雑誌の編集者を抜擢
コンテンツのクオリティーを高く保つために英国のファッション雑誌、Harper’s Bazaar UKのチーフ編集者LUCY YEOMANS氏をも引き抜いている。
まとめ
これまでのECサイトは単なる商品を買う場所だった。しかし、Net-A-PorterのWebマガジンのように、記事や動画などのコンテンツによって今すぐ商品を買わないユーザーも多く含まれるが、将来的に商品を購入する見込みのある潜在顧客を育成するように機能している。また、質の高いコンテンツが、ファッション関連キーワードからの検索アクセスを増大させていることは言うまでもない。長期的なコンテンツ設計という点において、このNet-A-Porterから学ぶところは多いだろう。