マーケティング

2018.01.29

「服が人に合わせる時代」は到来するのか?カスタマイズサービスの現状について

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国内アパレル通販最大手ZOZOTOWNを展開するスタートトゥデイが、ボディスーツによって体を採寸し、個々の体に合わせた商品の製造・販売を計画中だ。「服が人に合わせる時代」が到来し、ファッションのカスタマイズサービスは今後のアパレル業界の主流になり得るのか。

スタートトゥデイがPBと採寸ボディースーツを発表

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引用元:ZOZOTOWN

2017年の10月30日、スタートトゥデイがプライベートブランドの展開を発表。翌11月には、ブランド名「ZOZO」を報告するとともに、体の寸法を瞬時に採寸できる伸縮センサーを内蔵したボディースーツの無料配布を実施した。

スタートトゥデイの前沢友作社長は、SNS上で「人が服に合わせる時代から、服が人に合わせる時代へ」と意見を述べた。ボディースーツを「体重計や体温計のように一家に一台の存在にします」と意気込んでいる。ボディースーツの無料配布は大きな話題となり、想定以上の予約が殺到。ボディースーツの配送に遅延が生じるほどの人気ぶりだ。

計測された顧客の体型データを活用して商品をカスタマイズすることで、アパレルECが長く課題としてきたサイズの不安の多くが解消されることになる。試着することなく体に合うサイズの商品が購入できるとなれば、アパレルECの利便性は大幅に向上すると言えるだろう。

活発になりつつあるオーダースーツ業界

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引用元:テーラーキタハラ

体型に合わせて採寸しオーダーする商品といえばメンズスーツを思い浮かべる人も多いはずだ。従来は既製品を購入するのが当たり前だったが、ここ何年かの間に安価に仕立てることを売りにした店舗が多く登場している。例えば、創業1935年という老舗の「テーラーキタハラ」では、顧客が選んだ生地・デザインをもとに採寸と仮縫いを行い、体型補正・シルエット調整後に機械縫製で仕上げるイージーオーダーを、59,000円からとリーズナブルに請け負う。他にも、自ら採寸、サンプルスーツを送るなどして、店舗に足を運ぶことなくネット上の簡単な入力で注文が完了する店舗も少なくない。

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引用元:ユニクロ

ファストファッションの旗手、ユニクロも類似のサービスを展開している。ボディサイズと着丈・袖丈を採寸した上で、シルエットと生地色を選べるというもので、セミオーダーとは異なるものの、全2,112通りの組み合わせが可能で価格も14,900円と驚くほどの低価格を実現している。既製品の中から体型に最も近いものを選ぶのではなく、服のほうを体に合わせるサービスは、少なくともメンズスーツにおいては、確実に市民権を獲得しつつあると言えるだろう。

FENDIがバッグのカスタマイズサービスを開始

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引用元:Farfetch

カジュアルウエアにおいても商品をカスタマイズする動きが目立ってきている。イタリアの高級ブランド、FENDI(フェンディ)は、アパレルECサイト大手のFarfetch(ファーフェッチ)とともに、2017年末からアイテムをカスタマイズするサービスを開始した。現在のところはバッグの数アイテムに限定されているが、革やロゴ、留め金具の色を選ぶことができるという。

商品の製造は注文後に開始されるため、在庫を抱えることなく、製造過程に生じる無駄も大幅に軽減される。顧客にとっては商品選びの自由度が広がり、ブランドにとってはより生産が効率化されるというわけだ。従来からオートクチュールコレクションを手がけるFENDIにとって、顧客の好みに合わせて商品を受注生産するというスタイルはごく自然なこと。アパレルECにおいて高級ブランドのカスタマイズサービスが流行しつつあるのは、当然の流れと言えるかもしれない。

最後に

LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)やPRADA(プラダ)も同様のサービスを行っており、こうした流れはますます拡大しそうだ。いずれカスタマイズ可能な商品の範囲も広がり、カスタマイズサービスの流行が業界全体に波及することは十分に考えられるだろう。とはいえ、海外とは洋服文化の成熟度合いが異なる国内において、カスタマイズサービスがどこまで浸透するかは不透明だ。その意味で、スタートトゥデイによるプライベートブランド戦略は、今後の国内のカスタマイズサービスの行方を左右する重要な試金石となるかもしれない。

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