マーケティング

2018.03.28

ZARAが新たなオムニ店舗を開設 ー アパレルECにとっての試着&受け取り拠点の意義

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画像引用元:ZARA

ZARAが、店頭受け取りに特化したストアをロンドンにオープンした。注文した商品は、最短で当日中に受け取ることができるという。同社のオムニチャネル戦略を概観しながら、アパレルECにおけるリアル店舗の意義について考える。

 

ZARAがロンドンに店舗をオープン

2018年の1月26日、スペインに本社を置くアパレルメーカー、
インディテックス(CEO:パブロ・イスラ・アルバレス・デ・テヘーラ)が展開するZARAは、店頭での商品受け取りに特化した店舗をオープンした。場所は、都市部に位置するものとしては欧州最大級の大型ショッピングモール「ウェストフィールド・ストラットフォードシティー」内。旗艦のリニューアルを前に、期間限定のコンセプトストアというかたちで設置される。

およそ200平方メートルという店内には、オンラインストアで販売されている商品のうちの一部がストックされていて、午後2時までにオンラインで購入した商品を当日中に受け取ることが可能だ。また、返品・交換を行うこともできる。また、店内に置かれた鏡にはデジタルサイネージが埋め込まれ、試着した商品のRFIDタグに反応してカラーバリエーションを紹介したり、コーディネートを提案したりする機能を備える。

こうした仕組みは、2018年5月にオープンする旗艦店にも取り入れられる予定で、今回のコンセプトストアはその予行演習の意味合いが強いようだ。ZARAの店舗としては初めて、ECで購入した商品を受け取るためのスペースや、先述のサイネージディスプレイが設置されるほか、クレジットカードをアプリに登録するだけでスムーズな決済が可能になるインディテックスのお財布アプリInWalletを使った快適なチェックアウトも可能になる。オンラインショッピングに関する消費者の要望に応えるオムニ店舗としてだけでなく、未来的なショッピング体験を可能にする店舗として注目を集めることになりそうだ。

 

ZARAのオムニチャネル戦略とテクノロジー施策

ZARAでは、日本でも店舗受け取りサービスを積極的に取り入れてきた。上記のようなオムニ店舗の日本での導入はいまのところ未定ではあるものの、ECで注文した商品をリアル店舗で受け取る顧客の割合が、ECの売り上げ全体の6割を超えているという。2015年に国内で実施されたRFIDタグの導入によって、ECや店舗間での在庫管理の効率が飛躍的に上昇したことも、ZARAのオムニ戦略を進める原動力となった。店舗ごとの売れ行きが容易に把握できるようになったことで、店舗で販売する商品入荷量の調節、店頭の演出や装飾を最適化するのにも役立っているようだ。

テクノロジー施策にも注力している。2017年にリニューアルされた新宿の旗艦店では、試着室内にタッチパネルを設置し、顧客が試着中にサイズ変更などを依頼することができる仕組みを整備。また、モバイル端末を利用した決済サービスの準備も進めている。ECで購入した商品を受け取りにやってきた顧客に対して、リアル店舗ならではの、未来的で快適なショッピング体験を提供しているというわけだ。世界でトップ10の売り上げを維持し続けている新宿店の成功は、オムニ戦略とテクノロジー施策とがうまく連動している好例と言えるだろう。

 

アパレルECのための新たな拠点の模索

オンライン試着サービスに代表されるように、アパレルECは、試着をしなくてもサイズの問題を解消することができるサービスの開発にこれまで長らく取り組んできた。その意味で、ZOZOSUITの登場は、そうした流れにますます拍車をかけたと言えそうだ。

他方、今回紹介したZARAの新たな動きのように、試着や受け取りのための拠点を設置する動きも出てきている。他の例を挙げるとするなら、ヤマトホールディングス(代表取締役社長 山内雅喜)が行なっている「Fittingステーション」の実証実験がそれだ。ECで注文した商品の受け取りや返品、試着を行うことができるというもので、物流コスト削減に貢献するサービスとして注目を集めている。これまでに参加していた三陽商会、かねまつ、ディノス・セシールに続いて、2018年の2月には、ユナイテッドアローズ、ハースト婦人画報社、トランスコードの3社が加わったことが発表された。

アパレルECの効率化を進めるという意味で、ZOZOSUITは魅力的な施策であることに変わりないが、ZARAのオムニ戦略の成功を見る限り、実際に試着したり商品に触れたりして、ブランドの世界観に触れる拠点はやはりアパレルECにとって有意義であろう。もちろん、各ブランドがそれぞれ拠点を持つ必要はなく、「Fittingステーション」のように拠点が共有される仕組みも積極的に検討されるべきだ。効率や快適さを高めるいっぽうで、豊かなショッピング体験を演出することもまた、アパレルECが取り組むべき課題と言えるだろう。

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