マーケティング

2018.04.23

中央集権化が進むアパレルEC – ストライプインターナショナルとソフトバンクが共同展開するECモール「STRIPE DEPARTMENT」

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画像引用元:STRIPE DEPARTMENT

ストライプインターナショナルとソフトバンクとが共同出資して「STRIPE DEPARTMENT」を立ち上げた。「日本一のファッションECを作っていく」ことを目標としているという。大手ECモールが躍進を続ける中、中小アパレルECはどこへ向かうべきか。

ストライプとソフトバンクが合弁会社を設立

2018年2月15日、ストライプインターナショナル(代表取締役社長 石川 康晴)とソフトバンク(代表取締役社長兼CEO 宮内 謙)が合弁会社「ストライプデパートメント」を設立した。同時に、ブランド600、合計商品数6万点以上を取り扱うECサイト「STRIPE DEPARTMENT」を開設。アパレルだけでなく雑貨も多くラインナップされ、将来的にはコスメ商品の販売も予定している。

最大の特徴は、F2層(35歳から49歳の女性)を主なターゲットとしている点だ。このところ百貨店の人気が衰えてきており、2月に「西武船橋店」、3月に「伊勢丹松戸店」、6月には名古屋の老舗百貨店「丸栄」が閉館するなど、2018年に入ってからも地方を中心に閉館が相次いでいる。競合となるZOZOTOWNはじめ、多くのアパレルECがF2層を手薄にしていることから、これまで地方の百貨店を利用してきた客層が失いつつある買い物の場所を提供したいという考えだ。実際、三陽商会やレナウン、サンエー・インターナショナルといった大手アパレルメーカーに混じって、顧客との接点を求めてか、三越伊勢丹も参加企業として名を連ねている。

ストライプインターナショナルといえば、「アースミュージック&エコロジー」などの人気ブランドを多数抱えていることで知られるが、今回のECモールは百貨店の顧客層をターゲットとすることから、展開する商品は中高価格帯が中心。同社が元々展開しているブランドは取り扱わない。

また、サイトでは女性向けファッション雑誌などで活躍する人気モデルやスタイリストが登場する特集記事なども掲載。ウェブメディアとして情報発信も積極的に行っていく予定だ。

 

最新テクノロジーが解決する試着と接客の問題

 

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画像引用元:STRIPE DEPARTMENT

AIやロボットによる業務の自動化などを進めるソフトバンクと提携したことで注目が集まるのが、最新のテクノロジーを活用した施策の数々だ。STRIPE DEPARTMENTでは、パーソナルスタイリングサービスを提供している。顧客のサイズや好みのテイストなどについてのアンケートに基づいて、スタイリストがチャットによる接客を実施し、スタイリングを提案するというものだ。さらに、スタイリストとの接客データや購入履歴などの情報をAIが学習し、スタイリングの精度の向上が図られるという。また、所有しているアイテムの写真を登録しておけば、手持ちの商品とコーディネートして商品を提案してくれる「オンラインクローゼット」機能も備える。

試着や接客できないというアパレルECが抱える課題をZOZOSUITによって解決しようとしているZOZOTOWNとはまた違ったアプローチと言えるが、こうした最新テクノロジーを活用した試みが、今後アパレルECのあり方をどのように変えていくのか、注目したいところだ。

 

ますます加速するアパレルECの中央集権化

STRIPE DEPARTMENTでは、初年度の取扱高として16億円、3年後には100億円という目標を掲げている。さらに、10年後には時価総額1兆円の達成を目指すという。こうした大手アパレルECモールの躍進が続くことで懸念されるのが、アパレルEC市場の寡占化だ。

なぜなら、大手アパレルECモールの集客力は圧倒的だからだ。実際、大手も含めて多くのアパレル企業では、自社ECサイトの売上が大手ECモールでの売上を下回っている。2005年のECサイト立ち上げ以来成長を続け、ECでの売上の割合が全体の4割を超えるという「ナノユニバース」を擁するTSIホールディングスでも、売上の多くはZOZOTOWNや楽天市場、マガシークといった大手ECモールが中心。各社とも自社ECに集中した販売へと舵を切ることができないでいる。エンジニアをはじめとする人材不足にあえぐ中小アパレルECについては、推して知るべし、といったところだ。

自社ECの売上を順調に伸ばしている企業もある。その代表的な例と言えるのが、Spick and SpanやFRAMeWORKなどの人気ブランドを数多く抱えるベイクルーズだ。2017年8月期の自社ECの売上高は、前期比40%以上の伸びを見せる好調ぶり。ECでの売上のうち、およそ50%が自社ECによるもので、39%を占めるZOZOTOWNを上回る。5年前には20%ほどだった自社ECの売り上げも、全体の半分を占めるまでになったという。

同社では、物流倉庫の一元化や会員情報を含めたデータの統合のほか、ECで購入した商品のリアル店舗での取り置きや、返品を受け付けるなど、オムニチャネル施策を積極的に進めてきた。その甲斐あって、オンラインとオフライン、両方のチャネルを利用する人の顧客単価は、ECのみ利用する人の1.7倍に。ECとリアル店舗との行き来が活性化するほど、ECの売上が増えるというわけだ。

とはいえ、ベイクルーズのような例は決して多くない。STRIPE DEPARTMENTの登場によって、大手ECモールに多くの人が集まる傾向は今後ますます高まることになるであろう。

 

最後に

最新のテクノロジーを駆使した施策によって大手ECモールに顧客が集まるようになれば、いくつかの大手ECモールによる寡占状態、いわばアパレルECの中央集権化がさらに進むことになる。そうした事態を回避するには自社ECの充実が鍵となるわけだが、大手ECモールに頼らない独立自尊への道は険しい。

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