マーケティング

2018.03.26

ニトリホールディングスがアパレル業界に参入 ー 実績のあるオムニチャネル施策に期待

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家具の生産と販売で知られるニトリホールディングスがアパレル業界に参入することを発表。オムニチャネル戦略で実績のある同社の登場によって、アパレルEC業界にどのような風が吹き込まれることになるのだろうか。

ニトリホールディングスがアパレル業界への参入を発表

家具の生産と販売を手がける株式会社ニトリ(同上)などを擁する持株会社、ニトリホールディングス(代表取締役会長 似鳥昭雄)がアパレル業界への参入を検討していることを明らかにしたのは2017年の初め頃。前期(2017年度)において上場以来30期連続で増収増益を達成し、経常利益1,000億円の大台実現を目指す優良企業だけあって、同社が家具やインテリアの生産販売以外の分野に進出するというニュースは大きな話題となった。

異業種への挑戦は簡単でないことに加え、2017年度上半期のアパレル関連企業の倒産件数が、前年同期比0.7%増の148件にのぼるなど(帝国データバンク調べ)、厳しい状況にあるアパレル業界を参入先に選んだことも注目を集めた大きな理由と言えるだろう。

似鳥会長によれば、既存の家具店舗のネットワークをアパレル商品の販売に利用する予定はないという。M&Aによる数100店舗規模の衣料品店の買収と、買収先の商品の入れ替えを想定しているようで、家具・インテリア事業からは独立した事業展開となる模様だ。

また、2017年6月に開催された2018年2月期の第1四半期連結決算説明会では、40歳前後またはそれ以上の年齢層をターゲットとして想定していることが明らかとされた。主に都市部で展開する大手デパートなどでは、上記世代向けの商品が販売されているものの、地方在住の多くの消費者が容易にアクセスできる環境とは言えないことから、ビジネスとして勝機があると見ているようだ。

 

成功しているニトリのオムニ施策

リアル店舗チェーンを持つ衣料品店を買収するとのことだが、おそらくECと連動した事業展開となるはずだ。その意味では、同社がこれまでに実践してきたオムニチャネル戦略が重要な鍵となりそうだ。

ニトリでは、ECサイト「ニトリネット」で注文した商品を店頭でも受け取ることができるサービスを開始したほか、小型店の店頭にデジタルカタログを設置して品揃えを補うなどの施策を進めてきた。また、公式アプリを活用したサービス「手ぶら de ショッピング」も導入しいてる。店頭の商品に記載されているバーコードを手持ちのスマートフォンで読み取ると、ショッピングリストが作成されるというもの。リストはECサイトと連動していて、そのままECでも購入できるし、店頭で精算して宅配を手配することもできる。

また、物流センターでは人工知能を搭載したロボットを導入。過去の出荷情報などに基づいて商品棚を最適な位置に移動することで、効率的なピッキングの実現も果たしている。こうした物流の強化や店舗在庫の連携は、オムニチャネル戦略を進化させる上で欠かせないものだ。

 

40代を取り込むにはオムニ施策が鍵に

 

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ニトリによるアパレル業界への参入が実現すれば、おそらくお家芸とも言える得意のSPAビジネスモデルを展開することになるだろう。「お、ねだん以上。ニトリ」のキャッチフレーズとともに、低価格であるにもかかわらず質の高い商品を販売するブランドイメージがあるだけに、MD改善によって市場である程度の存在感を示してくるはずだ。

とは言え、ニトリがターゲットとして想定している40代というと、20代など若い世代に比べて、リアル店舗、ECを問わず、アパレル商品の購買意欲が低い世代だ。とりわけECに関しては、シャツやインナーなど、サイズ違いやイメージ違いなどのリスクが低い定番商品を積極的に購入する傾向があると言われている(中京大学ビジネススクールによる)。

そうした難しいとされるターゲットをニトリがうまく取り込むためには、しまむら(代表取締役会長 野中正人)のようにEC進出が後手に回っていてはいけないだろう。オムニ施策で実績のあるニトリだからこその、リアル店舗とECを融合させた画期的な販売戦略が見られるとすれば、アパレルECにおけるオムニチャネル戦略の台風の目となるかもしれない。

 

最後に

ダイエットを主な目的とするトレーニングジムを運営するRIZAPグループ株式会社(代表取締役社長 瀬戸健)も、2012年以降、複数のアパレル企業の買収を進め、2017年にはジーンズメイトを子会社化するなど、アパレル事業に本格的に乗り出している。こちらは、すでに既存店舗の改装や商品の入れ替えなどに取り組み、いくつかのプロジェクトは営業黒字となるなど実績を上げている。これらの企業が新規参入ゆえの斬新で型破りな戦略で、新たなビジネスモデルを作り出すなど、新たな流れの原動力となることを期待したい。

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